表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドジっ子女神と借金だらけの王国へ  作者: マーたん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/43

十章 ――神は救われるか、人は試されるか(神奪還編)――

奇跡は、もう残っていない。


祈っても、

願っても、

空は沈黙したままだ。


それでも人は立ち上がる。

救われる側だった者たちが、

今度は救うために剣を取る。


この戦いに、英雄はいない。

勝利を約束する声もない。


あるのは、

「それでも行く」という選択だけ。


神を失った世界で、

人は初めて――

神を救う戦争を始める。

十章 ――神は救われるか、人は試されるか(神奪還編)――




Ⅳ.奪還作戦、開始


夜明け前。


空はまだ色を持たず、

東の端だけが、わずかに白んでいる。


鐘は鳴らない。

合図の旗も、鬨の声もない。


それでも――

人は、集まった。


剣を握る兵士。

鍛冶槌を置いてきた職人。

神殿を閉ざされ、行き場を失った巫女たち。


かつて女神に救われ、

奇跡の温もりを知り、

そして今は、救う側に立つ者たち。


誰一人、鎧は揃っていない。

武具も統一されていない。


それでも、

背を向ける者はいなかった。


奇跡は、ない。


癒しも、加護も、

未来を保証する声もない。


あるのは――

命を賭ける覚悟だけ。


王子レオンは、列の先頭に立っていた。


王子の外套は外され、

簡素な鎧に、傷の多い剣。


「……覚えておいてほしい」


静かな声が、闇を切る。


「これは、命令じゃない」


誰も動かない。


「神は、俺たちに助けを求めなかった」


一瞬、空気が張り詰める。


「それでも――

俺は、行く」


視線が交わる。

誰かが、深く息を吸う。


「女神は、俺たちが救う」


その言葉に、

誰も笑わなかった。


誰も疑わなかった。


それが、

この戦いのすべてだった。



神狩り一族の拠点は、

古い神殿跡を改造した要塞だった。


神を拒むために建てられた壁。

祈りを断つための構造。


近づくだけで、

胸の奥がざらつく。


「……来るぞ」


最初の矢が放たれた。


音もなく、

狙いは正確だった。


一人が倒れる。

血が石畳に散る。


癒しは、ない。


「前へ!」


号令は短い。

悲鳴を上げる暇はない。


神狩り一族の戦士たちは、

人ではあったが、

人ではない動きをした。


剣を受けると、

刃が鈍る。


血を浴びると、

力が抜ける。


それは、

神性を削ぐために生み出された技。


だが――

人の剣は、人を斬る。


「怯むな!」


「数で押せ!」


泥と血にまみれ、

転び、叫び、

それでも進む。


奇跡がないからこそ、

退けば、終わりだった。


レオンは、前に出た。


護衛の制止を、振り切って。


剣を構え、

真正面から、敵を見る。


神を失った王子。

だが――

逃げなかった王子。


「俺は、王子だ」


刃を振る。


「だが、今日は――

一人の人間だ!」


剣がぶつかり合う。

火花が散る。


一撃を受け、

膝が折れそうになる。


それでも、立つ。


守られる立場を、捨てて。


その背中を見て、

人々は悟った。


この男は、

もう“王子”ではない。


王になる覚悟をした者だと。



戦場の奥。


《神檻》の結界が、

人の血で、わずかに歪む。


神を縛るための檻は、

人の命を想定していなかった。


刃が届く。

壁が壊れる。


誰かが倒れ、

誰かが叫び、

それでも――進む。


そのとき。


檻の内側で、

女神アステリアは、

初めて“外”を感じた。


神力ではない。

祈りでもない。


必死に、抗う人の意思。


(……来た)


それは奇跡じゃない。


それでも、

胸が、熱くなる。


人が、神を救いに来た。


夜明けは、まだ遠い。


だが――

確かに、

闇は揺らいでいた。

There are no miracles left.


Even if you pray,


Even if you wish,


The sky remains silent.


Even so, people stand up.


Those who were saved,


This time, I will take a sword to save him.


There is no hero in this battle.


There is no voice promising victory.


There is,


Only the choice of "I'll still go".


In a world where God has been lost,


It's the first time for people--


Start a war to save God.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ