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矢野未可子の顔は黒く塗りつぶすしかない  作者: さいだー
仮面の綻び

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8/38

幕間1

 江間弘海は、放課後の教室でここ最近描き足したスケッチを見直していた。


 大野事件に出くわした産物だった。


 必死な形相で訴える大野、その大野を頭ごなしに否定し、毅然とした態度で迎え撃つ岳本用務員。



 俺と対峙して奥歯をギリギリと噛み締める大野。


 拳を振り下ろす大野。


 大野を連行していく時に見せた、松川先生のすこし物悲しい横顔。


 証拠を提示され顔を真っ青にする大野。


 これらの作品たちはどこに出しても恥ずかしくない出来だった。


 自画自賛してふれ回りたくなる弘海であったが、その次のページをめくって肩を落とした。


 そこに描かれているのは、完璧な笑顔の矢野未可子。


 とても納得のいく出来ではなかった。


 きっと他者に評価を募れば、この未可子の絵は高く評価されるだろう。


 でも、作者である、弘海だけは納得することができなかった。


 何枚書こうが何回書き直そうが、未可子の絵だけは納得のいくものが描けた試しがなかった。


 なぜなのか弘海にはわからない。


 ────それでも弘海は未可子を描かずにはいられなかった。


 弘海は唇を噛み締めて、まっさらなページを開く。

 そこに4Bの鉛筆を走らせる。


 きっと、明日も、明後日も、その先も弘海は未可子を描き続ける。


 新たな一ページが埋まろうとしているとき、ふと弘海は思った。


 未可子はいつでも同じような表情をしているなと。


 いつでも未可子は薄く微笑んでいるか、猫のように目を細めている。


 他の未可子も描いてみようと新たなページをめくる。

 そこで弘海はふと気がつき、鉛筆を置いた。

 それ以外の表情をしている未可子を弘海は知らなかった。

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