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   ☆5☆


 早乙女邸を出たあと炎華が、

「いったん日陰市に戻って日陰大学病院に行きましょう。

 このあたりの総合病院はあそこしかないから、病気やケガをしたなら、必ず、あの病院に行くはずよ」

 竜破が、

「おいおい、美墨ばあさんの前じゃ早乙女教授を疑うなんて、とんでもないみたいな話しかただったくせに、結局、教授を疑ってんのかよ」

 炎華が、

「裏を取るだけよ。早乙女教授が本当に犬に噛まれて病院に行ったかどうかをね。私は教授を疑ってるわけじゃないわ」

 竜破が、

「いや、それを疑っているって、痛っ!」

 竜破の足を炎華が踏んづける。

 炎華が、

「とにかく行くのよ。今度はタクシーで行きましょう」

 竜破が、

「わかったよ。そんな、ムキになんなよ」

 炎華が竜破を睨み、

「いつ私がムキになったの?」

 竜破が足下を警戒しながら、

「待て待て、今すぐタクシーを呼ぶから、そんな顔で睨むなっての」

 一触即発の危機を回避した竜破である。

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