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強くなるために

「いいかレイチェル、お前の村を襲ったのは帝国だ。帝国の将軍ヴァラガス・ヴェイルだ」

 ゾシモスは村の仇の名前を教えてくれた。そして続けて

「奴は歴代でも最上位のネクロマンサーだ。魔力量もさることながら自身をアンデッド化させていてそこら辺の生物では歯が立たない」

 と絶望的な宣告をされた。

「セラフィーナもサシでの戦いなら勝てるだろうがきちんと準備されていたからな。レイチェルが勝つためには周りを抑えてくれる仲間か、取り巻きをまとめて倒す力をつけるかのどちらかだ」

「全員まとめて倒す」

 私はそう断言した。

(仲間なんかいらない、これは私の復讐だ!!)

 ゾシモスはそうかと肩をすくめるが、少しうれしそうだ。

「よくぞ言った、近頃のやつらは些か根性が足りてないからな」

 そう言って笑った後、

「明日から魔力の基本を教えてやる。飯は置いてくからしっかりと食べておけ。今のうちにしっかり泣いておけ、明日以降はそんな余裕すらなくなる」

 ゾシモスはパンと肉と野菜がゴロゴロ入ったスープを置いて出ていった。言われて気づいたがとてもお腹がすいていた。そしてスープを飲み

「あったかい、、、」

 思わず声が漏れた。そして訪れた安心感と同時に涙がこみあげてくる。

(みんな、、敵は絶対取るからね!)

 食事を終えた私は眠りにつき明日に備えることにした。


「お前はまず自分の種族に対してどれくらいの理解がある?」

 そんなゾシモスの問に私は戸惑いながらも答える。

「亜人族の中で竜人と並ぶトップの生命力と魔力を持つ種族です」

 私の答えに満足そうにうなずいた後

「鬼人の方が上だ。数こそ少ないが人型の中だとトップだ。それに角が魔術構築を補助してくれる。無意識にやっているだろうが、意識してやっていけばすべての世界でも指折りの魔法使いになれる」

 そうゾシモスは教えてくれた。思っていたよりも、復讐は現実的なのかもしれない。そんな思いを抱いていると

「意識的にやって魔術も練りに練りまくったセラフィーナが負けてるのだろうから一筋縄ではないがな」

 そんなゾシモスの言葉に私の思いは打ち砕かれた。しかし救い手の手を差し伸べるように

「お前をセラフィーナがかつて通っていたアルケウィスダム魔法学院に通わせる、それまでに基礎は俺が教えてやろう」

「よろしくお願いします、師匠!」

 こうして、ゾシモスとの基礎稽古が始まった。

 最初は基礎属性でも習得が容易でありよく使っていた炎の魔術を練習することになった。今までは魔術人だけを意識してやっていた魔術構築も、角に魔力を流すのを意識しながらやるようにしている。

「ファイアーボール!!」

 的に当たった私の魔術は以前よりも構築スピードや速さ、威力が上がっている。角を触媒として意識することの違いが目に見えてわかるのはうれしかった。

 ゾシモスが言うには炎属性だけだとどこかで壁に当たるが、今の段階はひたすら一属性を鍛えた方がいいらしい。一応基礎属性の第一位階は使えるが適正は雷と炎が強いらしい。今はゾシモスが作った金属製の人型に向けての魔術練習だ。ファイアーボールは第三位階にもかかわらず、かなり使い勝手が良いらしくゾシモスも愛用していると言っていた。以前手本を見せてもらったときは、私の5倍ぐらいの大きさでかなり驚いた。多分ワイバーンぐらいなら一発だ。そして私が魔術を構築するときも、最初は魔力で私に干渉して角に強制的に魔力を流してきたりと、かなりぶっ飛んでいることが分かった。


 座学を忘れてはならないというゾシモスの考えで、魔術理論や錬金術、様々な国や魔物の特徴なども学んできた。そもそも魔術には位階などと言われて区別されてるが、あくまで構築難易度が高いだけで、威力が比例するわけではないらしい。基本は威力は上がるらしいけど。最初は好きではなかったが錬金術もある程度はできるようになった。

 ゾシモスの専門は錬金術らしく「錬金術の魅力がわからないやつはセンスがない」とのこと。調薬なんかはあまり得意ではなかったが、ゴーレムがかなり素質があったらしい。今では自分でくみ上げた3メートルほどのゴーレムなら土から作れるようになった。だが師匠のゴーレムには遠く及ばなかった。師匠の小間使いゴーレムは30㎝で魔法陣が細かく刻まれてる。私にはあんな繊細なことはできない。師匠が言うには目に見えないレベルのゴーレムも作れるらしい。用途がないから作らないらしいが。

 あとは角の使い方も教えてくれた。師匠が言うには「自分の性能を全く活かせていない」状態らしい。角へ魔力を循環させて術の行使の補助ができる。さらに鬼人の角は吸収器官としての役割があり、大体の生物は死んだ生物から魔力を吸収する器官をもつらしいが鬼人族は別格らしい。普段意識せずに殺した魔物から魔力を少量吸収していたが、意識してこれをやると大分変わることが実感できた。

 また、炎以外の魔術の属性なども改めて学べた。習得者がほぼいない魔術もあるらしいが炎、水、風、大地、光、影、雷、生命、死、精神、空間の11属性あり、アルケウィスダム魔法学院では全属性を学べるらしい。効率よく強くなるには2属性とのことなので他は興味がないが、ヴァラガスは死属性だから死属性だけは勉強しようと思ってる。

 そんな中私が最も欲しいことも知れた。

「お前の仇である帝国とはどんな国なのか説明しよう」

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