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vsジャイアントメタルスコーピオン③

 とある会議室にて、男が詰められている。

「どう考えても今回の戦闘訓練は異常すぎます、無駄に死者が増えるだけだ!

 ハイデーモンの群れやゴブリンキング、特にジャイアントメタルスコーピオンは入学してすぐの一年生が戦えるような相手ではありません!

 どういった考えでこのような暴挙に出たんですか!?」

 ゾシモスは紅茶を飲みながら話を聞き流している。

 そのままクッキーを出して、紅茶と一緒に楽しみ始めた。

 さすがのいかれっぷりに周りもドン引きしている。ゾシモスにキレていた男は額に血管を浮かべ、椅子から立ち上がり詰め寄った。

「話を聞いていますか!?未来ある若者たちの命が無駄に失われているのですよ!!」

 クッキーを食べ終え、一瞥をして小馬鹿にするように鼻を鳴らした。

「はっ、エルドリンは生徒のことをただの人間だと思っているのか?

 あいつらは全員魔術師だ、最終的にほぼ全員が戦場に出る。若いうちから鍛えておかねば学園の意味がないだろ」

 エルドリンと呼ばれた男は激高し掴みかかろうとする。

「時間の無駄なのでやめてください、ゾシモス様も挑発はおやめください」

 眼鏡のずれを直しながらカシウスが注意する。

 その言葉にエルドリンは自分の席に座り、ゾシモスは肩をすくめて笑っている。そのゾシモスの様子に周りがため息をつきながらあきれている。

「そもそもがエルドリン、お前が大した成果を出せてないからだろ?

 在学中の死傷者は減ったかもしれないが、強者を作れないなら意味がないだろ」

 カルミナがエルドリンを馬鹿にする。

 その言葉に再びエルドリンは血管を浮かび上がらせ、激高する一歩手前まで来ている。その様子をニヤニヤとカルミナとゾシモスが見ているが、周りが止めに入った。

「いい加減にしろ、エルドリンもいちいち相手をするな」

 全身に鱗が生えている種族である龍人の男が注意をしてようやく場が静まった。

「戦闘訓練はすべてゾシモスに一任している、今更このような会議を開くな。無駄な時間だ」

 今まで黙っていたルシウスがそう宣言しお開きになった。

 満足そうに去る者や怒りを抑えきれない者、興味がない者とで反応は様々だった。


 目を覚ますと横でライアが寝ていた。

 昨日の会議の途中で眠気に耐えきれなくなってしまい、先に休みを取らせてもらったのだ。

 ライアを起こさないようにそっと天幕からでる。ご飯の前に少し散策しようと歩いていると、すでにセシリアが起きていた。

「おはようございます、レイチェル。よく眠れましたか?」

 普段は持っていない杖を持ちながら微笑んでいる。しかし、よく見ると杖を持つ手が少し震えている。

「おはようセシリア。新しい杖?いつものとは違うよね」

「そうです、世界樹を加工して作られたもので術の維持に役立つものなんです。普段は周囲の魔力を吸収して魔術の威力を高めてくれるのですが、今回は必要ないですから」

 堂々としているが、少し不安そうな顔をしている。

(やっぱり緊張するよね、自分以外の命もかかっているわけだし)

 どう考えても14歳が背負っていい重さじゃない。

 そもそも今回の戦闘訓練は例年と比べて異常とはカルミナ先生は言っていたが、それでもAランクの魔物の討伐はとてもじゃないが1年生でやる内容とは思えない。

「セシリア、頑張ろう」

「ええ、そうですね」


「ストームタシャゾルト!!」

 セシリアが放った魔術は砂嵐を吹き飛ばして遠くの山に吹き飛ばし、砂の制御を奪われないように風で砂が戻ってこないように集め続けている。

 この魔術の制御は鑑定士である柳が補助をすることによって維持できている。

 鑑定で魔術を解析して、陣の維持を手伝うことが鑑定の本質なのだそうだ。セシリアの魔術のおかげで砂嵐が晴れ、荒野に鎮座するジャイアントメタルスコーピオンが見えた。

 すでに昨日砕いた装甲は修復しており、万全のようだ。

 向こうもこちらに気付いたのかこちらに向かって突進してきている。

 ノアがすでに召喚した二体のラースグリズリーが正面からぶつかりに行った。アポピスは少し後ろからついていき、衝突する直前に重力で右の鋏を抑えこみに動いている。

 ドゴォォォン!と音を立ててラースグリズリーとジャイアントメタルスコーピオンがぶつかり合った。

 右の鋏にアポピスが重力をかけて体制が崩れていたのもあり、ラースグリズリーが吹き飛ばされることはなかった。

 さらに右の鋏にアポピスが巻き付き、強引に動きを止めている。

「拘束する」

 短くそう言ってヤエルは、アポピスが重力をかけている右の鋏をアポピスごとシャドウスナップで完全に動きを止めた。

 体のバランスが取れないながらも、ジャイアントメタルスコーピオンは左の鋏と尻尾でラースグリズリー二体を押している。

 尻尾の攻撃を食らわないように立ち回っているせいでラースグリズリーは戦いづらそうだ。

 こうしてジャイアントメタルスコーピオンを抑え込んでいる間に高橋が攻撃を始めた。カルミナ先生からもらったポーションを飲んで大剣に毒を塗っている。

「オラァァァァ!!!」

 狂化を使って拘束されている右の鋏の付け根の装甲を壊した。

 昨日同様すさまじい悲鳴を上げながら高橋を振り払おうとする。

 しかし、妨害するようにライアとレオンハルトが獣化をして頭付近に攻撃をし、ノアも残りの魔力をラースグリズリーに注いで一時的に強化する。

 ジャイアントメタルスコーピオンの妨害がないため、高橋は下がることなく攻撃を続けて分厚い肉ごと骨を切断した。ゴトッと音を立てて鋏が落ちた。

 続けて胴体の装甲にひびを入れるがラースグリズリーを無視して高橋の方に鋏を振り遠ざけられた。

 陣地側まで引いてきた高橋の顔色は土気色で頭を押さえている。

「俺はもう無理だから残りは頼んだぜ」

 そう言い残して高橋は倒れた。近くにいた魔術師が後ろのテントまで連れていく。

(君のおかげで勝てるよ、ありがとう)

 心の中で感謝し、周りの魔術士とともにジャイアントメタルスコーピオンにとどめを刺すために切断された右の鋏側に移動し始めた。

「次は私の番だ」

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