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誰かの味方④

やっと吐き気が落ち着き、トイレからふらふらと出ると、奥の部屋から物音がした。

部屋の方に向かうと、1匹のゴールデンレトリバーがソファ近くにお座りしている。

綺麗な毛並みだなぁ、触ってもいいかなと思ってゆっくり近づくと、「あ、大丈夫ですか?」と後ろから声をかけられた。

びっくりして振り返ると、先程のボブカットの女性が立っている。


「す、すみません!勝手に部屋に入ってしまって!あと、トイレ貸していただいて本当にありがとうございました。」


ぺこぺこと頭を下げると、頭を上げて下さいと言われる。


「大丈夫そうで良かったです。顔色も少し良くなりましたね。」


にっこり微笑まれ、なんだか安心してしまった。

いきなり押しかけて人様のトイレで吐くなんて、どうしようかと思っていたが、どうやら良い人そうだ。


「なにか飲めそうなものありますか?グレープフルーツジュース、ミネラルウォーター、ルイボスティーがあるんですが。」

「お茶まで頂いたら悪いです、すぐ帰りますので!」

「そんな遠慮せずに。お茶に付き合っていただけたら嬉しいです。」


…どうしよう、本当はまだ少し気分が悪い。

もともと休憩できそうな場所を探していたし、有り難い申し出だけど、いてもいいのかな。

考え込んでいて返事を躊躇っていると、女性が私の顔をジーっと見つめてくる。


「なにか顔についてますか?」


やばい、泣いてたって分かっちゃったかな。目の腫れ酷かったもんなぁ。


「まだ少しお疲れだなぁと思いまして。こちらにどうぞ。」


そう言って私の背中を支えながら、どこかの部屋に誘導される。

扉を開けると、棚やテーブルなどカントリー調の家具で揃えられた寝室があった。

なぜかベッドだけは病院のベッドのような感じで、病院で見たことのある柵?みたいなのがあった。

ベッドの方に誘導され、「こちらでお休みください。」と言われた。

え、ここで寝ていいってどういうこと?


「ま、待ってください。見ず知らずの人様の家で寝るなんてあり得ないです!」

「あ、私はこころと言います、よろしくお願いします。ここはお店なので、寝てもらっても大丈夫ですよ。お客様で半日くらいここで寝てる方もいるので、全く問題ありません!」


太鼓判を押すように言われるが、呆気に取られて言葉が出ない。

どうぞどうぞとベッドに押し込まれ、掛け布団をかけられ、「では、おやすみなさい!」と電気を消して部屋から出て行ってしまった。

こころさんっていうんだな…。凄く押しの強い人…。

有難いけど、ここ最近眠っても1〜2時間程度だし、ベッドに押し込まれても眠れないだろうな。

どうしようかと思っていると、甘酸っぱい感じの香りがすることに気づいた。

なんだろう、甘めの匂いだけど気分が悪くなる感じはしない。

一体何が匂ってるの?どこから?匂いの元を探ろうと思うけど、なんだか瞼が重くなってきて、ウトウトし始めた。

あ、寝るかもしれないと思った時には夢の世界に行ってしまっていた。

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