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はじめまして、こころ先生④

真っ暗な中を葵くんの運転する車が、道路を走っていく。 

後部座席では、私とゆめさんが大人しく座っている。ゆめさんは座っているというより、私の膝に顔を乗せて、伏せしているような感じだ。

ゆめさんの頭を撫でながら、どうにか早くこの気まずい時間が過ぎてと願う。

私のせいだから仕方ないが、おそらく葵くんの私の印象は良くない。私のせいだけど、私のせいだけど…!


「ここの角右でいいの?」

「はい!曲がったとこすぐのマンションです!」


葵くんはハンドルを切り、右折する。すると、すぐに私のマンションが見えた。

マンションの入り口前に葵くんが車を停める。


「こんな夜中に本当にありがとうございました!ゆめさんも、ついてきてくれてありがとうね。」


葵くんにお礼を言いながら、ゆめさんの頭を撫でる。やっぱり毛並みが良い、連れて帰りたい…。


「こころに言われてるだろうけど、ちゃんと病院行きなよ。」

「え?」


こちらを振り返り、葵くんが急に病院の話をするからびっくりした。こころさんが葵くんに何か言ったのかな?


「う、うん。ちゃんと行くよ。こころさんにもまた会いたいし。」

「どういうこと?」

「ちゃんと病院行ったら、また来てもいいって言われたの。だから、ちゃんと病院行く。明日、ちょうど仕事休みだしね。」

「…勝手にしなよ。」


前方に視線を戻して、葵くんは車のハンドルにもたれ掛かった。


「あ、本当にありがとう。ゆめさんもまたね。」


最後にもう一度ゆめさんの頭を撫でて、車から降りた。葵くんの車はすぐ立ち去って見えなくなったけど、しばらく私はそこに立ったまま車が見えなくなった方を見つめていた。

なんだか不思議な夜だったなぁ。

体調最悪だったのに今は身体が軽く感じるせいか、今日は眠れそうな気がする。

明日は約束通り朝からちゃんと病院に行こう。

それでまた、こころさんとゆめさんに会いに行こう。

そう思ってやっとマンションに入った。

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