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 一緒に住み始めて一ヶ月。

 レオルド様はエアコンの研究に没頭していた。

 改良が進んでいき、ついに完成したらしい。


「ソフィーナには、また魔力を注いで欲しいのです。可能ならば、前回よりも多めに」

「わかりました。やってみますね」


 見た目は以前と同じで、赤色の魔石が鉄に嵌め込まれている。

 前回の二倍くらいの量の魔力を注いでみた。

 そしてレオルド様が、前回同様赤い魔石に触れた。


 心地よい温風が部屋を暖めていき、窓を開けなくとも快適な温度になった。


「うまくいったようです」

「すごいですよ! 極寒の季節なのに暖かいなんて!」

「ソフィーナの魔力と発想があったからこそ完成できたのです。なんとお礼を言って良いのやら」


 レオルド様は私の手を両手で包み、青色の瞳を真っ直ぐこちらに向けてきた。

 レオルド様が一生懸命に頑張っている姿を一ヶ月も見てきたのだ。

 すでに私は彼のことを惚れ込んでいる。

 だからこそ、真っ直ぐな視線は恥ずかしいしドキドキもした。


「レオルド様が頑張っている姿を毎日見れて、私は満足です」

「ソフィーナには迷惑をかけてしまったと思っていますよ。本当に申しわけない。毎日食事の準備や食材の仕入れ、掃除まで全てやらせてしまって」

「いえいえ、むしろこんなに自由に色々できることも幸せですから」

「はい?」

「あ……」


 つい口がすべってしまった。

 これでは子爵邸にいたときに自由などなかったみたいな言い方だったではないか!

 すぐに誤魔化す。


「いえ、レオルド様が頑張っていたわけですし、私も妻としてお力にならなければと思ったまでです」

「ソフィーナ……ありがとうございます! あなたが私の婚約者で本当に良かった……」


 毎度のこと、誤魔化したが嘘は言っていない。

 すでに私はレオルド様の頑張っている姿を見るのが、毎日の楽しみなのだ。

 彼が没頭できるような環境にするために、家のことくらいいくらでもやる。

 むしろ、毎日食事をしっかり摂れるようになった。

 なおかつ試作品のほうのエアコンがあるおかげで毎日快適な温度(油断するとゆでだこになる)で過ごせていたし、空気の循環も良く、私の調子がすごく良い。

 ただ、一つ気がかりなこともある。


「養っていただいて申しわけありません。なにかでお返しができればと」

「私の妻になるのです。そんなこと気にする必要はありませんよ?」


 と言うのも、レオルド様は無理をされていることを知った。

 レオルド様のご両親から家の維持費と生活費を仕送りしていただいている状況だが、かなりギリギリの生活をしている。

 色々なところでレオルド様は我慢をされているのだ。


「このエアコンが商品になったら良いですね」

「これなら大丈夫かと思います。念のため安全面も含めもう少し検証が必要ですが。エアコンが完成したら王宮の商会に相談するつもりです。その時はぜひ一緒に来ていただけたら」

「もちろんです!」


 そして二週間後、ついにエアコンが完成した。

 一人で持ち運ぶのは困難なため、二人で一緒に持ち、王宮へと向かった。

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