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 レオルド様が作業に没頭し、すっかり日も暮れてきて部屋が暗くなってきたころ。


「できました!」

「早いですね」

「あくまで試作ですから。ただし、これはこの家だけでしか使えないような物です。あくまで試しということで」

「それでもすごいですよ! 部屋が暖かくなるのですか?」

「成功していれば、暖めることも冷やすことも可能です」


 レオルド様が持っているのは、魔力を流したら青色に変化した魔石と言っていた石に似ている。

 大きな鉄の間に魔石を嵌め込んでいた。


「これはソフィーナの魔力があってこそできるかもしれない試作品です。良ければこの石に魔力を流し込んでもらえますか?」

「は、はい。遠慮なく」


 私は、ゆっくりと魔石に魔力を注いでいった。

 さっきの魔石よりもたくさん注げそうな感じがしたため、遠慮なく注いでいく。

 先ほどの魔石同様、色が変化した。今度は赤色だが。


「充分です。むしろとんでもないくらい入れてくれましたね」

「これで暖かくなるのですか?」

「これから試してみます」


 レオルド様は、赤くなった魔石に手を触れる。

 すると、魔石を嵌め込んでいる鉄から、暖かい風が吹く。


「え、えぇ!?」

「どうやらうまくいったみたいですね」

「どうなっているのですか?」

「魔石に注いでいただいた魔力が尽きるまでですが、魔石自体に風と熱もしくは冷気を発動させられるようなカラクリを仕込んでみたんです。今回は部屋を暖かくしたいため、私が暖かくなるよう念じたので鉄を通して温風が吹くという仕組みです」


 言っていることが難しすぎてイマイチ理解できなかった。

 だが、部屋がどんどん暖かくなっていく。

 さっきまでは極寒だったのに、むしろ暑いくらいだ。


「すごすぎですよ! こんなものどこに行っても手に入らないでしょう?」

「ソフィーナのおかげですよ。あくまで試作品ですから、この家だけで使うようにしますが」

「ところで、これはなんていう道具なのですか?」

「そうですね……。温風機おんぷうき、これだと冷気の時に違いますよね。冷風機も違うか……。なんとなくですが、エアコンと仮名しておきましょうか」


 どこからその名前がでてきたのかはわからない。

 しかし、どういうわけかしっくりくるなぁと思ってしまった。


「エアコン……。いつか王都に普及できるような商品になったら良いですね」

「はは、まだ課題はたくさんありますけれどね」

「ところでこのエアコン、さすがに暑すぎになってきたと思いますが、どうやったら止まるのですか?」

「あ……。しまった」

「えぇぇぇぇえええええっ!?」


 このままではゆでだこになってしまう。

 極寒の季節ではあるが、窓を全開し、部屋の中の熱を外に逃した。

 これでちょうど良いくらいの快適な気温である。


「ソフィーナがすごい量の魔力を入れてくれたのでしょうね。しばらくは止まらないでしょう」

「今度は都度調節できるようなエアコンになったら良いですね」

「まだまだ研究の余地がありますね。ありがとうございます。なんだかとても楽しくなってきましたよ!」


 レオルド様がニコリと微笑む。

 まだ一緒に住み始めたばかりだが、彼とだったらずっと一緒に楽しい毎日を送れそう。

 そんな気持ちにさせてくれる笑顔だった。

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