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「俺より強い者でなければ結婚は認めない……」

「え……そんな」

「ヴァーンよ。おぬしは毎日限界まで追い詰めていたのだろ? ただでさえ国で一番の強さだった騎士がさらに修行を重ねてきた結果、誰も敵う者はいないだろう?」

「ソフィーナを愛していきます。大事にします! どこの男かもわからないような者に譲れませぬ!」


 想定していたより大事にされすぎると、こんなにめんどくさくなってしまうのか……。

 もちろん、時間をかけてでも説得させるつもりだ。

 レオルド様のことをどれだけ愛しているか、レオルド様がどれだけ素晴らしい方なのかをしっかりと話せばいつかは納得してくれるはず……。


「こほん。ちなみにひとつヴァーンに教えておこう」

「はい!」

「レオルドはすでに子爵として国に仕えている」

「な⁉︎」

「ソフィーナも子爵だ」

「なんですと⁉︎」

「なお後日、レオルドは侯爵に、ソフィーナも伯爵に上げることにしている」

「「え⁉︎」」


 最後は私とお父様で同時に声を出してしまった。

 息ぴったり。

 レオルド様も伯爵という話だったはずだ。

 いつの間に最高位の侯爵にまで……。


「先ほど話したが、レオルドの試作品を我が国の諜報員で試させてもらった。盗聴器、カメラ、服を含め身体を一時的に透明化させる道具はどれも素晴らしい。難なく治安部隊の闇を暴くことに成功したのだ」

「いつの間にレオルド様はそのような物を……」


 私は毎日レオルド様の物づくりを見学している。

 だが、今国王陛下が話してくれたようなものを作っているところを見たことがない。

 私が料理をしたり掃除をしたりしているタイミングで作っていたのだろうか。


「彼の功績も、ソフィーナが支えているからということもあるしな。どちらにしてもソフィーナもいずれ侯爵にはする。あの魔力なら当然だな」

「ありがとうございます……」


 まさか私まで侯爵になってしまうなんて……。

 レオルド様のそばにいて、ずっと彼と協力してきたからこその功績だと思う。

 そのこともお父様にしっかりと説明して説得したい。

 だが、お父様は諦めたような顔をして私にこう言った。


「俺はもうなにも言う権利もない。だが、結婚するならば挨拶しに来るようにとだけ伝えてくれ」

「はい? さっきと言っていることが真逆のような……」

「いずれ侯爵になるような相手には逆らえない……」


 今もお父様は、どんなに鍛えていても権力には弱かったようだ。

 だが、レオルド様は権力を利用して強引に結婚するようなことは言わないだろう。

 妥協ではなく、結婚することを心から納得してもらえるようにしたい。


「ところでソフィーナに聞きたいのだが、侯爵になれるほどの魔力とはいったい?」

「あ……えぇと……」


 お父様相手にだから喋っても大丈夫かな。

 覚悟のうえで話そうとしたら、先に陛下が喋ってしまった。


「ソフィーナは魔力測定器で100万近くの数値が出せるのだよ」

「ひゃく⁉︎ さささささ……さすが俺の娘だ……」

「たしかおぬしも3万ほどの数値を出せていたな。騎士なのに……。おかげで当時も王宮の魔導士たちが騎士に負けたと悔しがっていたな」

「今の俺は、測定器を使えば10万ほどの魔力がありますが、まさかその10倍とは……」


 毎日懺悔のために死にそうになってまで身体を追い詰めてきた日々。

 魔力も毎日枯渇するまで発動しまくっていたらしい。

 それでもそのうえをいくのかと、ただただベタ褒めしてくるお父様だった。


 少々クセもあるような気がするが、血の繋がった唯一の家族。

 家族が増えて嬉しかった。

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