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41【Side】

「そんな……ばかな。僕の魔力が」


 ブルクシアが魔力を失った翌日。

 魔力に関しては絶対的な自信を持っているブルクシア。

 毎朝、魔力を向上させるための訓練を欠かさないし、創作魔法を常に研究していたため、国王からの評価も高かった。

 将来は王宮の魔導士がほぼ決まっていた。

 だが、創作魔法も魔力の訓練も、全てはブルクシア本人の欲求や不正を誤魔化すための手段のためであった。

 今まで積み重ねてきたものが、ソフィーナに呪いをかけてしまったために全て失ったのである。

 呪い魔法が解除された感覚があったため、楽しみにしながら朝を迎え、魔法訓練でどれだけ向上したか確かめようとした。

 だが、全く魔力が使えないのである。


 もちろん、ブルクシアはなぜこうなったかはまだ理解できていなかった。

 慌てて父デズムの元へと走る。


「父上! ソフィーナのことで聞きたいことがあります!」

「ん? どうしたのだ。珍しく焦っているではないか」

「その……。ソフィーナは父上と不倫相手の子供なのですよね……?」

「なにを今さら。そうだ。間違いない」


 ブルクシアは呪い魔法について充分に調べたうえで習得した。

 魔力を失ってしまった原因がソフィーナとブルクシアが近親ではないという以外に理由が思いつかないでいる。

 デズムは大きな勘違いをしているだけであり、ブルクシアに対して嘘をついているつもりはなかった。


「失礼しました……。どうやら僕の勘違いだったようです……」

「どうしたのだ?」

「いえ。魔法が使えなくなってしまったような気がしただけです」

「そうか。おまえはもはや私よりも魔力が高く貴重な人材だ。創作魔法もたくさん覚えてくれたのだろう? 主に私の治安部隊をさらに良く(やりたい放題にする)するために」

「はい。いったん心を落ち着かせて今一度訓練を再開します」

「ほう、ということはついにソフィーナの魔力は尽きたか」

「……まだわかりません」


 呪い魔法が解除されたのが勘違いだったのか、解除されたがミスをして自らの魔力を失ったのか、ソフィーナが赤の他人と知らずに魔法を発動してしまったのかは、今の段階ではブルクシアにも分かっていない。

 執念深いブルクシアは、部屋に戻り、もう一度魔力の確認をしてみた。

 しかし、何度試しても魔力が使えない。

 水魔法も。炎魔法も。トイレの水すら流すことができない身体になってしまったのである。


「どうして……。呪い魔法は完璧だったはずなのに……」


 ブルクシアが途方に暮れているところに、さらに追い討ちがやってきた。

 モンブラー子爵家の入り口が強制的に開けられ、大勢の諜報員と兵士が侵入してきたのである。

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