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 セバル様から忠告されていたことをすっかり忘れていた……。

 魔力が極端に高いことをバレないほうが良いと、あれだけ言われていたのに。


 今回は生徒指導室という場所に呼ばれ、数名の教師が見ている中で、魔力測定を受けることになった。

 他の生徒に見られないほうが良いという判断だそうだが、どういうことかわからなかったのだ。

 私は躊躇することもなく、新しく入ってきた魔力測定器に数字の上昇を見ながら、ゆっくりと魔力を注いでいく。

 15000になったあたりでふっと魔力を止めた。

 もちろん、全く疲れていない。


 平然とした素振りがいけなかった。

「疑ってすまなかった。ソフィーナ君の魔力は本物だということが証明された。しかも、これだけの魔力を注ぎ込み、疲れていないのか?」

「はい。全然大丈夫です」

「間違いなく国宝レベルだ。失礼だが、ソフィーナ君はこの学園で学ぶことなどあるのか……?」

「へ?」

「これだけの魔力だ。おそらく王宮の方々が黙っているわけがないだろう。もしかしたら、国のために強制的に魔導士として働かされるなんてことも考えられる」

「あ……!」

 セドム先生が心配そうにそう言ってくる話を聞いて、今になって思い出した。

 魔力に関しては大人しくしておかなければいけないことをすっかり忘れていたのだ。


「その反応、すでに進路が決まっているのか?」

「いえ。王宮に仕えている知り合いの侯爵様からも忠告を受けていました。魔力を派手に使わないほうが良いと……。すっかり忘れていました」

「なるほど。では先生方、そして学園長。このことは他言しないようお願いしたいのですが」


 セドム先生が頭を下げてお願いしてくれていた。

 学園長が白い顎髭を手で触りながら、残念そうに頷く。


「まぁ仕方あるまい。我が校としては歴史的快挙なことではあるのじゃが、生徒の自由を奪うわけにもいかぬだろう。それよりも……」

「ありがとうございます!」


 私も頭を下げた。

 すると、なぜか学園長が頭を下げてきたのだ。


「むしろ、頭を下げるのはワシのほうじゃソフィーナよ……」

「はい?」

「入学試験でソフィーナが不正をしていたという抗議があった。試験官も必死にそのようなことはないと主張してくれていたのだが、権力に逆らうことができなかった……。いや、むしろワシも疑ってしまった一人だ。魔力測定器を壊すほどの魔力を持った子どもなど存在するはずがないと思っておった……。疑って本当にすまないことをした」

「あの……、権力って……」

「治安保安部隊だ」


 義父様が関わっている部隊か。

 学園長が頭を下げてまで必死に謝ってくれているし、ここで責めても意味がない。

 むしろ、ホッとした。


「では、本来なら私が首席だったのですね?」

「あぁ……。本当にすまない。なんど謝罪しても許されることではあるまい」

「良かったぁ〜!!」

「「「「「は?」」」」」


 私は感情を抑えられず、本心をそのまま声で出し、胸を手で押さえて安堵した。

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