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「10220……?」


 セドム先生が、魔力測定器を見ながら信じられないと言った目をして驚いていた。

 ヴィーネ義姉様が、驚きながら私の目の前まで駆け寄ってくる。


「あ……ありえないです! いったい、今度はどのような不正をしたのよ?」


 私は魔力切れ寸前のため、意識が朦朧としているのだが、それでもなんとか返答をした。


「不正なんてしていませんよ。ただ、順番が来るまでに失った魔力の回復に専念はしていましたが」

「なんと! 昼寝ではなく、魔力循環の……それも高度な技術が必要な回復をしていたというのか?」

「はい……。実は入学式直前に魔力をほとんど使い果たしてしまっていたので……。少しでも回復しなければと思いまして」

「ほとんど使い果たした? では今の魔力は本来の全力ではないと?」

「本当に申しわけございません。言いわけのような発言になってしまいますが……」


 頭を軽く下げて謝った。

 本当は深々と下げるべきなのだが、今それをするとそのまま倒れると思ったからやめておいた。

 それだけ魔力が底をついている。


「首席のヴィーネ君が、2950だった。それを数倍を超える数値で……どういうことだ……?」


 セドム先生がヴィーネ義姉様に厳しい視線を向けた。

 ヴィーネ義姉様は、嫌な汗を流しながらも一生懸命そうにしながら応えている。


「さ……さあ。でも魔力が不調で10000超えなんてありえないでしょう! どうせまたなんらかの不正をしたんだわ」

「確かこの魔力測定器は、ソフィーナ君の……知人から提供されたと聞く。いったんこの件は保留としよう」

「保留? こんなにみんながいる前で不正を堂々としたのですから、いきなり退学でも良いでしょう?」

「ヴィーネ君……。キミが首席の座を危うくされたという気持ちはわかる。だが、あくまで学園内では皆平等だ。確かにこの数値は異常だ。だが証拠もないのに不正と決めつけるのはどうだろうか」

「うう……」

「安心しなさい。数日後に、元々発注していた従来の魔力測定器が納品される。その機械で再度測定すれば事実かどうかが判明する」


 レオルド様が新しいものを届けた際、すでに新たな魔力測定器を手配していたと言っていたっけ……。

 だが、また同じことをしたら壊れてしまうじゃないか。


「また壊れてしまいますよ……」

「なぁに、心配不要。今度の機械は20000までならば許容できるようになっている。本当にソフィーナ君の魔力がこれをも超える数値であるならば、加減をし、5000から10000程度の魔力量を注いでくれれば良い」

「良いのですか?」


 加減は難しいが、ゆっくりと魔力を注いでいく方法なら多少の誤差は出るものの簡単なことである。

 セドム先生が首を縦に振ったため、ひと安心だ。


「あくまで、これは学園長からの命令だからな。事実関係を証明するために仕方のないことだ」

「うう……」


 今度はヴィーネ義姉様が動揺しはじめていた。

 このとき、ようやく気がつく。

 ヴィーネ義姉様が不正をした者を捕まえると言っていた相手が私だということを……。


 私はなにも知らずに全力で魔力を使ってしまったから、その罰として次席になったのだと思い込んでいた。

 だが、不正と思われていることはいたたまれない気持ちになる。

 しっかりと自らの潔白を証明しないと。

 楽しい学園生活を送れるために!


 そして、その日はあっという間にやってきた。


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