表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/50

23

「うぅ……ダメでした……」

 合格発表日。

 魔法学科に私の合格されている名前は載っていた。

 ただし、上から二番目に。次席ということになる。

 一番上の首席には、ヴィーネ=モンブラーと記載されていた。私の義姉様である。


「次席でも立派ですよ。気にすることはありません」

「一緒に首席で合格して、授業料などは免除で安心して通いましょうと言う話だったではありませんか」

「あくまで目標ですよ。目標に向かって頑張った。それでも目標に達成できなかった。ソフィーナは試験日まで頑張ってきたのですから、悔しい気持ちはあっても落ち込む必要はありません」


 レオルド様は首席で合格だった。

 一緒に首席になれなかったことが悔しくて、涙を溢す。

 しかし、レオルド様は責めることもなく、むしろよしよしと慰めてくれた。

 私だけが経済面(学費関連)で足を引っ張ってしまい申しわけなく思う。


「それにしても、ソフィーナの魔力はセバル様のお墨付きで評価されていたのに、次席でしたか……」

「ヴィーネ義姉様が首席でした。一番高い数値を出していて、それに実技も受けていたと思いますので順当かと」

「なるほど……。モンブラー子爵家は魔力が高いことで有名ですからね。たしか、長男のブルクシア=モンブラー様も首席で合格され、今は生徒会長を努めていますよね」

「へぇ……」


 私はモンブラー家にいたときは小屋から出なかったし、子爵家の情報はほとんど入ってくることすらなかった。

 義兄様がいて、プリドラ学園に通っていることくらいまでしか知らない。

 一度も会ったことがないため、顔もわからないのだ。


 おっと、まるで知りませんといった反応をしていてはマズい。

 レオルド様に対して誤魔化すのは嫌だが、身を守るためにも仕方がない。


「久しぶりに会えたら良いなぁ」

「良かった。少し元気になりましたね」

「レオルド様からも励ましていただきましたので。学費は自分でしっかりと払えるようにします」


 レオルド様のおかげで、私も男爵として叙爵され、給金も支給されるようになった。

 ただしそれだけで一年分の学費を支払えるか微妙かもしれない。

 なにか仕事をしないと。


「ソフィーナさん、今学費をどうしようか悩んでいますね?」

「なんでわかるのですか?」

「毎日一緒に住んでいますからね。それくらいはわかりますよ。ちなみに、悩む必要などありませんからね?」

「え?」

「念のために、二人分の学費はしっかりと貯蓄してありますから。新商品の冷蔵庫の売り上げも入りますし」

「それはレオルド様が稼いだお金であって」

「まだとはいえ、卒業したら夫婦になるのですよ。二人で協力していきましょう」


 レオルド様は、私が失敗しても優しい。

 物置小屋生活では、なにをしても怒られ、褒められることなど一切なかった。

 私にできることは限られているが、レオルド様がやりたいことを満足して取り込めるように、これからも身の回りのお世話だけでもしっかりと支えていきたい。


「ありがとうございます」

「いえ、いつもソフィーナに支えられていますからね。困難なことがあっても、一緒に乗り越えていきましょう」


 レオルド様が婚約相手で本当に良かった。

 私は今後、失敗を恐れずにもう少しだけ、前向きに頑張っていくことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ