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「なるほど……。陛下の部屋に設置しているエアコンの魔力補充が、王宮に仕える魔導士では困難だったわけだ」


 セバル様が魔力測定器に視線を向けながら呆れているように見えた。


「1,000,000も魔力を蓄積できる測定器がたった一人の……それもたったの一回で満タン近くまで溜めてしまうとは……。いったいどのような訓練をしたらこれほどまでの規格外な魔力を?」


 四歳のころから毎日欠かさず魔力循環の訓練をしていたとしか言えなかった。そこまでしか言えない。

 他に、人と違うような生活をしていたが、それは魔力と関係があるのかはわからない。それに、物置き小屋で生活していたことがバレたら、今の幸せな生活が脅かされてしまう。

 黙っておこう。


「四歳から毎日か……。しかしこれだけでは……いや、これ以上詮索するのも野暮というもの。ただ、このことは陛下にも黙っていたほうが良いかもしれんな」

「四歳から訓練をしていたことをですか?」

「いや、規格外の魔力量のことをだ」

「ソフィーナの魔力はそこまで規格外なのですか?」

「当然だよ……」


 レオルド様は魔法関連に関してはなく、私を基準にして道具を作っていた。

 元々魔力が少なくて生活に困っていたから、魔力が無くても生活できるような道具を作っていると言っていたっけ。

 私も、本を何冊か読んだだけで、まだどのようなものなのかも理解できていない。

 プリドラ学園で魔法の勉強を中心にやっていきたいと思っている。

 つまり、二人とも知識不足だ。


 セバル様が額に手をあてながら呆れていた。


「はぁ……。本当にお前らは、ある意味で天才と言うべきなのか……」


 しばらく無言のあと、セバル様がやれやれと首を傾げながら説明をしてくれた。


「ソフィーナ嬢の魔力量は、王宮で最高魔導士の50倍を軽く超えている。陛下もソフィーナ嬢の魔力が優れていることは知っているだろうが、まさかここまでとは思わないだろう。もしも陛下の耳にでも入れば、間違いなくソフィーナ嬢の将来は、陛下の命令で王宮に仕えることになるだろう」

「私が、王宮で働けるということですか?」


 むしろすごいではないか。

 しかし、セバル様は少しだけ顔を強張らせていた。


「ソフィーナ嬢もレオルド君も若い。しかも、これからプリドラ学園に通い、色々と学ぶことになるだろう。二人とも素晴らしい才能があるのだから、早い段階で王宮に仕えることしかできない選択肢に絞ることもない。世の中は広いのだから。色々と知ったうえで、王宮に自ら望み仕えたければそのときに言うのが良いと思う」


 セバル様が熱く語ってくれた。


 私は物置小屋にこもりっきりの生活を余儀なくされていた。

 レオルド様のおかげで、ようやく外の世界を少しづつ知りはじめている。

 プリドラ学園も合格していればもっともっと色々なことを知れるはず。


 セバル様の言うとおり、今はまだ誰にも知られないように気をつけることにしよう。


「ソフィーナがそこまですごいお方だったとは……。気がつかずにすみません」

「謝らないでくださいよ。私自身、セバル様に教えてもらうまでどれくらいの魔力なのかも知りませんでしたし……」

「デズム子爵様が、私との縁談を認めてくださったのが謎ですね……。私としては嬉しいのですが」

「う……⁉︎」

「それに、どうしてデズム子爵様はソフィーナの魔力のことに触れなかったのでしょうか。これだけ素晴らしい魔力があるならば、すでに有名になっているかと思いますが」

「う……う……⁉︎」


 マズいことになった。

 レオルド様が鋭いところに指摘を入れてきたのだ。

 真実がバレたら私だけでなく、レオルド様も危険なことになってしまうかもしれない。


 なんとかして誤魔化さないと。

 どうしたら良いのだろう……。

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