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 いつもの応接室で王都商会会長のセバル侯爵様を待つ。

 メイドさんがあたたかい飲み物を用意してくれていたため、レオルド様と二人で飲みながらくつろいでいた。


「待たせたな。冷蔵庫の販売が予想以上に忙しくてな、すまない」

「販売させてくださり、ありがとうございます! お忙しい中、申しわけございません」

「気にしなくとも良い。またなにか作ってきたのだろう?」


 レオルド様は、箱サイズの魔力測定器をセバル様に見せた。


「これは魔力測定器とその魔力を長期間保存するための道具です。これさえあれば、以前陛下にお渡ししたエアコンも長期間使用することができるようになるでしょう」

「ほう……。プリドラ学園にも魔力測定器があったはずだが、長期間魔力を保存できるならば、こちらのほうが効率が良いな。ところで、どれほどの魔力量を保存できるのだ?」

「今までの経験を参考にし、ソフィーナが全力で魔力を注いだら満タンになるくらいでしょうか」

「考えただけでとんでもない量の魔力が使えそうな気がするが……。需要はあるだろうが、使いこなせる者がいない気がする」


 セバル様の厳しい意見が返ってくる。

 しかし、レオルド様は引くわけでもなく、しっかりと説明をしていった。


「これは試作品で、陛下の部屋に設置していただこうかと思って持ってきました。商品化させたい魔力測定器は、もっと小さいサイズで、魔力も一般用に改良するつもりです」

「なるほど……。試しに実際に魔力を注ぎ保存するところを見てみたいのだが」


 ここで私の出番だ。

 ただ、学園でのトラウマがあるため、念のためにレオルド様に確認する。


「これは魔力の注ぎすぎで壊れませんよね?」

「大丈夫だと思いますよ。むしろ、これならソフィーナの全力を試すことができるはずです」

「ほっ……」


 レオルド様がそう言ってくれるのなら大丈夫だ。

 王宮へ来る前に、いつもの魔力循環訓練もやっている。

 今なら全力で注ぐこともできるが……。


「ちょっと待て。壊れるってどういうことだ? まさか……、昨日の試験で⁉︎」

「はい……。魔力測定器を壊してしまいました」

「やはりソフィーナ嬢だったか!」

「知っていたのですか」


 セバル様が苦笑いをしながらこくりと頷いた。


「ちょうど今朝、プリドラ学園の魔力測定器の修理依頼が入っててな。実際に見てみたが、強力な魔力で耐えきれなくなって壊れているように見えた。だが、あれは確か数値が10000程度までは耐えられたはず。王宮の国一番の魔導士が本気を出して限界値を超えるかどうかの値だ。にわかに信じられなかったが、ソフィーナ嬢なら納得できる」


 私の魔力がそんなにあるなんて思わなかった。

 レオルド様の作った魔力測定器で全てがわかると思うけれど、とにかくやってみよう。


「レオルド君。君が作ったこの測定器も数値化されるのか?」

「はい。プリドラ学園の数値と同じかどうかはわかりませんが、1,000,000までは計測できるようにしてあります」

「よし。では先に私がやってみても良いか? 試験前に検査で魔力測定器を使用したばかりなのでな」

「もちろんです。むしろ、誤差がどの程度なのか確認できるので助かります」

「よし。では先に失礼する」


 セバル様が魔力測定器に魔力を注いでいく。

 ふうっとひといきついたところで、500と表示されていた。


「驚いた。プリドラ学園の測定したときとほぼ同じだ。この数値を基準にすればわかりやすいだろう。それにしても、プリドラ学園で使っていた物の百倍も計測できるのかこれは……」

「大量の魔力を保存できると便利かと思いまして。ソフィーナ、よろしく頼みます」

「はい」


 さすがに百倍も測定できるなら、全力でやっても壊れないよね。

 遠慮なく思いっきり魔力を注ぎ込んだ。


 こんなに魔力を放出したのは生まれて初めてだ。

 さすがに体内の魔力をほとんど出してしまい、ちょっとやりすぎて目眩を起こしてしまった。

 クラクラとしている中、セバル様が口を大きく開けて固まっていた。

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