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 王宮の玉座の間にて。

 実は今日がレオルド様の十五歳の誕生日である。

 爵位を叙爵される儀式を、この日に合わせてくれたらしい。


 二重にしておめでたいことだ。


 大勢の貴族と思われる人たちが起立の姿勢で整列している中、国王陛下に名前を呼ばれ前に向かっていくのはレオルド様。


「レオルド=ミルフィーヌ。其方を本日付で男爵とする。今後のますますの活躍を期待しておる」

「ありがたき幸せ。今後は国のために尽くします」


 拍手の中、レオルド様が私の隣へ戻ってきた。


「私の今があるのは、すべてソフィーナのおかげですよ。ありがとう」

「いえ、それは私も同じですよ。まさか私までもが男爵になれるなんて……」


「ソフィーナよ、前へ」


 私は緊張しながら陛下の目の前まで行き、膝を立てて頭を下げた。


「ソフィーナ。其方を本日付で男爵とする。今後の活躍を楽しみにしておる」

「大変ありがとうございます。国のため尽くせるよう、まずは学園で様々なことを学ぶつもりです」


 拍手の中、レオルド様のいるところへ戻る。

 途中、私のお父様であるデズム=モンブラー子爵と義母様のミアが悔しそうな表情をしながら睨んできた。

 ミアなんかわかりやすく、ハンカチを噛みしめながらだ。


「ソフィーナもおめでとうございます」

「ありがとうございます。あとは、明日の入学試験で頑張ればひとまずの山は越えますね」


 イベントがてんこ盛りである。

 爵位の儀式の翌日は、私たちが受験する王都運営の、『プリドラ学園』の試験日なのだ。


 そして試験日の翌日は、ついに冷蔵庫の発売日である。

 慌ただしい三日間の一日目のイベントが終わり、帰り道。


「ところで、授与式の最中にひとつ気になったことがあるのですが」

「なんでしょうか?」

「ソフィーナはご家族の方と仲が悪かったのですか?」

「へ……?」

「デズム子爵様が、ものすごい目でソフィーナのことを睨んでいましたよ」


 これはマズい。

 私が物置小屋で監禁生活を送っていたことがバレてしまうのは危険だ。

 だから今までレオルド様にも子爵家の話は極力避けるようにしていた。


「えぇと……、睨まれて当然ですよ」

「え⁉︎ なぜですか?」

「私にはヴィーネという義姉様とブルクシアという義兄様がいます。ブルクシア義兄様は家を継ぐため問題ありませんが、ヴィーネ義姉様が嫁ぐか爵位を叙爵される前に私が男爵になってしまいました。そのことを良くは思っていないのかと思います」


 レオルド様はなにか考えながらも黙って聞いてくれていた。


「あまり理解はできませんが、他人の家に口出しはしないでおきますね」

「ありがとうございます。でも、今はすでにレオルド様と家族だと思っていますから」

「ソフィーナ……」

「レオルド様……」

「ソフィーナ……」


 私はすでに、レオルド様のことにすっかり夢中になっている。

 言い方は悪いかもしれないが、もうモンブラー子爵家のことなど眼中にないのだ。

 それはモンブラー子爵家が私のことをゴミ扱いしていたのだし、おあいこということにしてもらいたい。


 まだ婚約者同士で正式に結婚は学園卒業後となるが、今の私はすでにレオルド様のことしか見れていないのだ。


「おっと……、浮かれている場合ではありませんね。明日の試験のために、今日はゆっくり休まないとですね」

「レオルド様は明日のために勉強と新作の道具開発を並行してやっていましたものね。首席での合格頑張ってください」

「ここまで時間をかけられたのは本当にソフィーナのおかげです。絶対に首席で合格してみせますから」


 レオルド様は寝る時間も割いて本当に頑張っていた。

 そんな頑張っている姿を毎日見ていたら、レオルド様のことを溺愛と言ってもいいくらいに愛してしまっている自分がいたのだ。

 もちろん、寝る部屋は別々だしなにもしていないが、我慢ができなくなりそうなときもしばしばあるほどである。


 全ては無事にプリドラ学園に合格して、しっかりと卒業してから……。

 先は長いなぁ。

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