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リモートブックストーリー  作者: 北佳凡人


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責任とって



「昨日の成果はと……たったの3000円か」


 アフィリエイトの契約サイトで、前日の暫定成果をみるのが、俺の日課。いやネットブラウザで、常時タブを開きっぱなし。新規提携先との契約もするから、いつでも目にはいる。日じゃなくて分いや、秒課といっていいくらいだ。


 アフィリエイトとは提携を意味する言葉らしい。サイト経由で物が売れると、仲立ちしたサイトの持ち主にお金が入る。それが成果報酬型広告(アフィリエイト)だ。


 薬天、AMBZON、A7、リンクソェア、GGL、その他。あとは情報商材など。 システムは違うが、どれもアフィリサイト。

 

 お金が稼げるいっても微々たるものだ。薬天は1%だし、GGLはクリック10円。A7あたりは固定で5000円てのもあるが、そういうのは売るのが難しいか成果認定がキビかったりする。仕事というには不安定だし、どこか胸を張れない後ろ暗さがある。


 ネットで収入を得る方法はいくらでもあるという。いまは動画サイトが主流だが、顔だしで稼げるのはイケメンか、視聴者を引き付ける魅力や腕がないとムリ。どっちももってない俺は、この、10年以上前からやってるスタイルに、しがみついて暮らすしかないのだ。


 かつては、3桁近くあった契約サイトも淘汰され、この現状。俺も何度かビッグウェーブに乗ったことがあるが、いまは昔。作った10000ものサイトはネットのゴミだ。不労所得とは名ばかり。1日、10時間やっても、1円にもならない日がある。普通にバイトでもしたほうが、収入は安定する。


「ドメイン代もバカにならない。今週は米とカップラーメンで過ごすのか……はぁ」


 ドメイン代は昔の3倍くらいになった。代表的な汎用ドメイン”.com”なら、500円ほどで取得できたものが、年2000円近くする。俺はドメインだを80個取得していた。


 腰が痛い。座りすぎた。椅子から立ち上がって背を伸ばす。


「うーん。麦茶でも飲むか」


 ペットボトルではない。冷蔵庫で冷やした“水だし麦茶”だ。


 コップに注いで冷たい液体で喉を潤し、2階の窓から外をながめる。雲がちらほらの晴天だ。車なら30分ほどで着ける山のスキー場までよく見える。夏だから営業はしてないけど。こんな日に、いわゆる“仕事”をしないて閉じこもってられる罪悪感。それがちょっとたまらない。


「隣りの娘か。帰ってくたのか? こんな昼間に」


 なって苗字だったか。たまーに見かける家族構成は4人家族だったか。一人娘が、就職したとかしたかったとか。その娘が、家の前を行ったり来たりしてる。


「なんだ? 自分ちだろ。入れば……俺んちに入ってきた??」


 ぴんぽーん。とチャイムがなった。

 マジ? 俺んとこになんの用だ。出るべきか出ないべきか、セールスなら無視を決めるが、隣りの人なんだから、それもなぁ。


 なにせ、訪ねる理由がわからない。しかも日中、会社務めなら帰宅には早すぎる。町内会にはいってないから、回覧板ってこともない、万が一そのケースなら、親がもってくるはず。


 さんざん考えても分からなかった。それでも、ようやくたどりついた結論が。妙といえば妙だが、それくらいしか考えられない。

 

 プリンのお礼だ。


 玄関を開ける。娘が、ずかずかと踏み込んできた。


「加藤さん。逃がしませんよ、呪いの責任、とってもらいます」

「呪い? 責任?」


 なんでこいつ。ヤバい薬でもやってんのか?


「苦労したんだから。突き止めるの。ロンリーぽこさん!」



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