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リモートブックストーリー  作者: 北佳凡人


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命日


 “しゅらぶっかー”から、DMが返ってきた。


『会わなくてもいいので、前向きに書籍化を検討してほしい』


 へぇ。と思った。


 書いてるオレがいうのもなんだが、たいして面白い話じゃない。文才がないのは分かりきってる。


 有名投稿サイトで累積ランキング上位の作品をいくつか読み、いまの流行を分析。キャラ、ストーリー、伏線をいいとこどり。ついでに、タイトルもくっつけて書いただけ。アフィリで培ったリライトと、キーワード戦術だ。


 底上げするブログは立ち上げない。一本に集中できるだけ楽な作業といえる。楽なのは作業だけで文章の組み立てには苦労した。何十回となく修正を重ねた。そのせいか、面白いのかつまんないのか、まったくわからないものが出来上がってる。


 単調なアフィリ生活の、いい気分転換。金になるとは思えないし、これ以上直せと言われても面倒。肝心のアフィリ時間を削られては、生活できなくなる。


『興味ないからいいです』と返信しておいた。





 線香を焚いて仏壇に手を合わせる。位牌は3つ。義父、義母、妻。3人の写真が今朝も微笑んでる。


「米がなくなってるな。買ってくるか」


 車はあるが乗らない。デカいから駐車がしんどいのだ。カートを引いて近くのコンビニに行く。パンと、米と、一人分のカット野菜と肉、それにプリンを3個かごにいれる。3キロ先にのス―パーでまとめ買いしたほうが節約できるんだが、やはり車がネックになる。あまり運転が得意でない、乗らないからもっと得意でなくなる。悪循環だ。


 レジで清算すると新作アニメのキャンペーンとかで、くじを引かされる。プリンが当たった。なんでもヒロインの好物らしい。オレは嫌いだが。


 家の前で、ちょうどでてきた隣りの娘と鉢合わせる。オレをみて驚いた顔をしてる。オレも驚いた。出勤時間らしい。中にはいていいだけのことなのに、目が合ってしまったせいで、なにか言わなきゃいけない空気になる。


 いい天気ですね、と諸侯のあいさつか。いや天気のまえに、名前も知らない。だからと言って、偏金直樹ですって、名乗るの変。表札は加藤だしな。妙な間ができた。


「……あ、おはようございます」


 あいさつされた。どうしたらいい? 人と話のなんて記憶にないくらい昔のことだ。


「……ええと……これ」


 くじで貰ったプリンを渡した。


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