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 冒険者ギルド、どんなとこなんだろう。


 俺は少女と街を歩きながら一人妄想を膨らませる。

 街並みは中世ヨーロッパといった感じで、歩く人たちもどこか古風な衣装を身にまとっている。うーむ、趣がありますな。でも見渡す限り猫耳やらトカゲ頭とかがいないのがちょっとばかり残念だけど……そもそもこの世界にいるのかな?


 そんなこんなで初めての街を眺めているうちに、あっという間に冒険者ギルドについた。


「意外とデカいんだな……」


 街の奥へ進んで行った先にあったそれは、木造建築の三階建てといったところで、結構な大きさがありそうだった。


「そりゃダンジョンの街だもん。ここ以外にもダンジョンに近い所にサブギルド的な感じで派出所が建ってるんだ。通称、魔界前ギルドとか呼ばれてるんだけどね」


「へー、詳しいんだな」


「常識だよ」


 少女が先導して中に入っていったので、俺もあとに続いた。

 中は思ったとおり広く、高級ホテルのエントランスくらいあった。まぁ床とか内装とかはかなりボロいというか年季が入ってる感じではあるが。人は何人かいるけどそんなに多くはないな、お、何あの装備、かっこいっ。


 少し進んだ先に受付があったので、少女に続いて向かった。


「ようこそ、冒険者ギルドラオガニ支部へ! 今回はどのようなご要件ですか? ……ってあれ、カナメさん?」


「やぁリスティ。二日ぶりくらい?」


 挨拶してくれた受付のお姉さんと、少女が何やら喋り出した。顔見知りなのか?


「そうですね、昨日は夜勤明けで休みをいただいてましたので出勤は二日ぶりです」


「ギルド職員も大変そうだね、私は夜ダメなタイプなんだよね、どうしてもダルくなっちゃうっていうか」


「そうなんですか。まぁカナメさんもまだまだ子供ということなんでしょうか、羨ましい」


「すごい煽りに聞こえるんだけど気のせいかな?」


「嫉妬してるんですよ、まだまだ若くていいなと」


「……君もまだ二十前半くらいじゃなかったっけ」


「それは内緒です」


 そんな感じの世間話を繰り広げていた。

 なんだこの会話は。俺は何を聞かされてるんだ? でも女性同士の会話ってそんなに聞くもんじゃないし意外と新鮮かも……


「そんなことより今回はどんなご要件なんしょう? 今日は依頼は受けられてないのですか?」


「いや、早朝に受けてもう終わったんだ。近場だったからね」


「……流石は異風児カナメ……依頼のスピードもピカイチですね。まだお昼時だというのに」


「それやめてって言ってるよね……たまたま早く見つかっただけだよ。それよりもこの人見てあげて」


 ここでようやく俺が紹介された。


「こちらの方は……」


「なんでも冒険者になりたいらしいよ。ここでできるんだよね?」


「あぁそうでしたかっ、これは大変失礼いたしました。改めましてようこそ。冒険者登録をご希望ということですが、よろしかったですか?」


「あ、はい、ぜひお願いします」


「はい。かしこまりました。それでは登録されるにあたり注意事項があります、えーと」


 お姉さんはガサガサと台の下を漁り始めた。なんだと思ったらすぐになにやら紙を引っ張り出してきた。


「はい、えーまずは冒険者登録をご希望なさるその心意気に敬意を評します。どのような事情があり足を運ばれたのかは分かりませんが、おおむね『強い姿に憧れる!』とか『なんとなく楽して稼ぎたい!』など、そういった考えが根本にあるのかもしれません。しかし冒険者というのは世間で語られるよりも非常に厳しい職業です。魔物を狩るときには常に危険がつきまとい、毎日が死と隣り合わせです。実際登録してから半年以内の新人冒険者のうち、実に四割がその命を落とすというデータがあります。さらに死にはせずとも、体の一部が破損し障害が残ったり、魔物と対峙したショックで重い精神病を患って引退していく冒険者も跡を絶ちません。これらを踏まえて『それでもいける、やりたいんだ!』と思う方だけご登録していただきたいと思います。ここにきて引き返すことは決して恥ずかしいことではありません。引く決断をするというのもある意味賢い判斷と言えるからです。無謀な者から、現実を見ていない者から命を落としていきます。少し厳しいことを言ってしまいましたが、それだけ冒険者業の現実を理解していただきたかったのです。さぁ、それでもあなたは登録を望まれますか? ……はい、ということでどうでしょうか?」


「お、おう」


 なんだか怒涛の文句を並べられてしまった。

 そう返すのがとりあえずやっとだった。


 なるほど、まぁあれか、それだけ冒険者は厳しいってことを言いたいんだよな。まぁ確かにこうやって忠告してくれるのはありがたいことか。でもどうしよう、思えば相当甘い考えがあって希望するというのも確かだ。

 ……いや、でもここまできて引き下がるというのも違うよな。

 魔物と戦うのだ、リスクはあって当然だろう。もちろん無茶はしないように心がけようとは思うが。


「……それでもやっぱり登録させてください」


「はい、かしこまりました。登録の手順に入らさせて頂きたいと思います」


 俺は僅かな不安を覚えながらも、登録することになったのだった。



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