能力発覚
ん?
「ジジイ、ここは異世界だな?」
「はぁい…そう、でございます」
「んー?なら能力使うやつとかいるの?」
「はぁい、そうなるかと思いますでございます…ぐふぅ」
電流を浴びせ続けてなんだか瀕死そうなジジイに、今は何を聞いても無駄そうなことだったけれど、このジジイの容姿も、この建物も、俺自身が現実世界で生きていた中じゃ見たこともないものだ。
「あ、ジジイの種族はなんだ?」
「わ、わたくしはエルフ族、ございますますます」
「なんかジジイ疲れてない?」
「いや!お前のせいじゃろ!早く解け!そうしたらなんでも教えてやるわい!さらにお腹すいとるじゃろ?なー?」
コロコロ性格を変えるこのジジイ。
あれだけ電流を流したのに、まだまだ余裕そうだ。
それとも、エルフ族ということもあって、回復する能力でも使っているのだろうか。
「まあ、確かにお腹は減ったかな?あ、エルフ族の肉って美味いのか?」
「えっ?あ、恐ろしいこと聞きますね、でもそれは勘弁してくださいよーご主人!うへへ、私共は美味しくありませんぞ?もっと美味しい料理ありますから、ね?ね?」
「手のひら、くるっくるじゃねーかジジイ…」
見ていて情けなくなるほど男というものを持っていないジジイに対して、先ほどの自分の立場を考えると恥ずかしくなってくる。
「ごごごご主人?どうされますか?」
電流器具を置いて、プライドを捨てたジジイの話に乗っかることにする。ただ、次何か魔法でも使ってこられたら終わりだ、そこは警戒しなければならないだろうか。
そう思い、辺りを見回してみると別の拷問器具のようなものが目に入った。
「じゃあこれ、使い方教えてくれるか?」
「へっ?そ、それはあれでございます!そ、その、頭に取り付けてそのボタンを押すと頭が良くなる…はい」
「ほんとに?頭良くなるの?」
思いもしてなかった言葉を鵜呑みにして、俺はそれを頭に取り付ける。
「そ、そうです!あとはそれを、はい!ぽちっと、ポチッとするだけっす!」
胡散臭い。何か企んでいるのが分かりすぎる言動。
まるで、現実世界にいるときに見ていたアニメのワンシーンのような…。
あ?