始まるの?
知らない天井だ……。いや、まず天井がなく、青空しか見えない。
辺りを見渡すと草原が広がっている。心地よい風も吹いているが少し肌寒さを感じる。
起き上がることすらめんどくさいと思ってしまうが、さすがにこのまま寝てるわけにはいかない。俺がわかっているのはここが『ノーピース』だということだけ。まずは現状を確認しなければならない。
ふむふむ、これは……うん、俺だね。スライムじゃないじゃん!
容姿は変わっていないが、何かが違う。てか、さっきから寒いんだけだ……
――――ん?寒い?寒いだって!?
今まで寒いなんて感じたことないのに。この感覚はおかしい。
「まさか、俺の神力が!?」
「ワールド・マネジメント!!」
ワールド・マネジメントは俺だけに許された固有魔法だ。この魔法を行使することで世界のバランスを調整している。
この世界は、このガイン様が創造した世界だ。国や街も俺が適当に作ったもの。ネーミングセンスもばっちりだ!自分の才能が恐ろしくさえ思う。題材はもちろん地球から頂いている。
目の前に大きな画面が現れる。そこに表示させるのは『マップ』 『ピースのかけら』 『収納』 『ゴミ箱』の4つのアイコン。もう何度も見ていたいつもの画面。だがひとつだけ失くなっている機能がある。
――――『創造』と『修正』がない……。
「ふざけんな!これがないと俺TUEEEEもチートも出来ねえじゃん!」
原因はなんとなく想像できる。犯人はアーネットだ。それ以外考えられないし、こんな事出来るのはあいつしかいないからだ。本当に性悪な女だ!だから彼氏も100年以上もいないんだと、心の中でディスっておく。
ポーン!!
――――ん?なんだ?メッセージ?
――――あなたの能力に制限を掛けました。楽をせず、自分の足で世界を回りなさい。あなたのせいで歪んだところを正しなさい。そして各地に建造された『柱』に『ピースのかけら』をはめ込みなさい。それまで天界に帰ることを禁じます。
「嘘でしょ?お姉様……こんな仕打ち……ひどすぎる……」
だが、こんなことで落ち込んでなんていられない。使えないものを嘆いていても仕方がないし、ここにいても衣食住、なにもないのだから。
マップで現在地を確認すると、ここから数キロ先に小さな街『ゴルゾナ』がある。この街の名産はチーズでパスタが絶品の設定だ。もちろん、俺が作った街の一つで教会で神へのお供え物はもちろんチーズだ。これが堪らなくうまい!
この世界に来てからすでに2時間ほど経っている。腹もそこそこ減ってきた」
――――よし!とりあえずこの街にいくか。
もう俺の胃袋がパスタを求めている。さっきまで絶望を感じていたのに、足取りが軽くなった気がする。早く飯屋に行ってたらふく食ってやる!腹が減っては神など出来ぬ!
さっさと飯食って、その、よくわからない歪みとやらをちゃちゃっと正常に戻せば天界に帰れるんだ。深夜枠のアニメにはなんとか間に合うか?出来るならなんとかリアタイでみたいからな。
さあ!俺の冒険はこれからだ!
うんうん、もう最終回を迎えた感じがして、達成感があっていいな!
「ワールド・マネジメント!モード転移!」
シー―――――――――ン………………
忘れてた、俺、神力ないんだった。 ってことは、この距離を歩かなきゃ駄目なのか!?
「クソ姉貴……だりぃな……」
なんとか書きました。楽しんで頂けたら幸いです。