噴水
噴水の前に辿り着いた。何度も見たバカでかい、街のシンボルとも言える大きな噴水だ。
噴水の真ん中にはよく分からないオブジェの形をした支柱が立っており、そこから水が流れている。光が反射してキラキラ輝いていてとても綺麗だ。ここに人が集まるのもうなずける。
子供達が水に足をつけて遊んでいる声が何とも心地よい。みんなが笑顔で溢れかえっている。そんな俺も何故かここにいると元気が出るような気がする。
「ははっ!怪しい気配がするのに何だろう、この感じ!」
まるで童心に戻ったような、くすぐったい気持ちが少しくすぐったい。
噴水の水しぶきを浴びてると力がみなぎって……いや、おかしい!濡れても全く不快感が生まれない!きっと、いつもの俺ならだるいと思うに違いない!
「この水怪しいな……俺もちょっと入ってみるか」
いや、怪しいと思ったから入るだけで子供達が楽しそうだから入るわけじゃない。ほら、入ってみないと分からない事だってあるだろ?
そんな事を思いながら少しワクワクしながら靴を脱ぎ、中にはいる。深さは膝下まであって思いのほか深い。そして実に気持ちいい……疲れが取れる。このシュワシュワした感じが癒やしてくれているようだ。
「てか、なんだ?このシュワシュワ感……まるで炭酸みたいだな……」
噴水の中に入ったまま少し歩いて行くとある事に気付いた。真ん中にある支柱に扉らしきものがある。水が噴き出しているから分かりにくいが間違いなく扉だ。
「怪し過ぎる……もはやフラグでしかないな……」
濡れたくないし、入りたくないが早く解決しなくてはいけない!こんなところで足止めを食らうわけにはいけない!
もはや世界を正すのが目的ではなく、セバスの認識を正すのが目的になっている節がある。
「俺の名誉のため、そして世界のために俺は……俺は……濡れるか……はぁ……」
ざばっ……ざばっ……ざばっ……ざばっ……
中心に近づくにつれ、どんどん深くなる……。まるで近づけたくないかのような作りだ。扉の前に着くと深さは腰辺りまで浸かっていた。
「嫌な気がしてならねぇが……入るか!」
決意を固め、扉のノブに手をかける。どんなフラグが待ち構えていようと立ち向かってみせる!
ガチャガチャガチャガチャ!
ガチャガチャガチャガチャ!
「って、開かねぇのかよ!」
しっかりフラグを回収出来たが体温とやる気がどんどん下がっていくのがわかる。
「もう、壊していいかな?クソだりぃわ……」
お久しぶりです!また、ボチボチ書いていきます!




