セバスからの逃走
気まずい空気の中、コーツをソファで寝かせ、セバスに苦し紛れの言い訳をして外に出た。一刻も早くあの空気から逃げ出したかった。
セバスの……あの、なんとも言えない優しい眼差しが忘れられない。絶対何か誤解いを招いている気がしてならない。
モヤモヤする気持ちを抑えつつ、今から何をすべきかを考えた。
1,かけらの在り処を探す
2,神力を宿している人物を見つける
3,セバスの誤解を解く
個人的には3を優先させたいところだが、まずは1番だろう。2番の神力を宿した人物はこの街にいるのか、わからない。それはコーツの存在が大きく関わってくる。
まず、歪みの原因は、かけらの存在で間違いはないだろう。歪みは広範囲に影響するが特定の個人だけに影響しているとは考えにくい。もし、関係があるのならゴルゾナでピースのかけらを交換したときにマリーに何かしらの変化があってもおかしくはない。さらにこの街ではコーツと接触して力を取り戻しているにも関わらず、街には何も影響していない。
だからこそ、このふたつに関しては、分けて考えたほうかいいだろう。何より考えることが「だりぃ」からな。
「よし!やるか!さっさと見つけて誤解を解かないといけねぇし……確認も兼ねて……な……」
まずは街全体を確認するように走り回った。だるい気持ちとは裏腹に俺の体力はかなり向上しているのでまったく疲れない。このまま何周でも街を走れるくらいだ。
「ははっ!これこれ!これだよ!やっと戻ってきた!俺の神力が!!!!」
全快とまでは言えないが、力がみなぎってくるのがわかる。これなら思ったよりも早く見つかるかもしれない。
一通り街を走り終えてから人気の少ない裏路地へ行き、誰かに見られてはいないかを確認し、意識を集中させた。
街の地図はもう頭に入っている。あとは俺の神力を広げて街中に行き渡らせれば、俺の神力に反応してかけらの位置がわかる!…………かもしれない。
だが、確信はある!俺は感が良いからな!大体は当たるんだ!なんたって天才だから!
小さく深呼吸をして意識を集中していく。街全体をイメージしながら……ゆっくり……ゆっくり……上空から見下ろしていく感覚。これは神界で世界を観察していたときに似ている。
「……反応がないな、いや、これか?でもなぜこんな場所が?」
反応した場所、それは商人達が集まっていた広場の中心にある噴水だ。だが、この噴水には立ち寄ったし、なんの変哲もないバカでかい噴水だった。
「とりあえず、もう一度確認しないことには始まらないか」
そろそろお腹も減ってきたし、さっさと終わらせたい気持ちに駆り立てられているのか、ソワソワする気持ちが収まらないが走って向かうことにした。
_____なんだか嫌な予感がする。
「待って!なんか行きたくない!絶対なんかある!……いや、何もなくても困るんだが……」
足を止め、考えてみたがコーツを囮にするくらいしか思い浮かばない。屋敷に戻ることも考えたが……。
「セバス……いるよな、執事だし、会いたくないんだよなぁ、気まずいし」
諦めてまた噴水に向かって走り出したが、先程までの軽い足取りはなく、めんどくさい気分に襲われていた。
もう、なにが嫌なのかさえわからなくなっている。
「はぁ……やっぱり、だりぃもんは、だりぃな」
ごめんなさい、更新遅くなりました。ごめんなさい……ごめんなさい……。




