プロローグ
なぜ人は神を信じる?なぜ神に縋る?悪いのは神か?悪魔か? といつも考え得る俺の言い訳。
「だりぃな……」
周囲ならは馬鹿にされていることも、期待されていないことも知っている。
そんな俺だが、腐っても神。神力もあれば豆電球くらいの後光もさしている。
それでもやはり、みんなから頂いた称号は……
なにより自分でもそう思っているほどの筋金入りの怠け者だ。
そんな俺の密かな楽しみ。それはアーネットが管理をしている『地球』の観察だ。
この世界はすごい!愚かな人間は多いが食や文化が素晴らしい!
特に『あにめ』にハマっている。『人の姿を模したロボット』 『変身中は攻撃をしない優しい世界』 『異世界転生』
言い出したらキリがないが、この文化を俺の世界でも是非とも取り入れていきたい。そのためにめんどくさがりな俺が『そう設定』したのだから。
だか、大きな失敗をしてしまった!アーネットに見つかってしまったのだ。
「クソ姉貴!放しやがれ!」
アーネットの魔法によって身体を縛られ身動きが取れない俺を、鬼の形相で見下ろしている。
「ガイン。あなた、何をしたか、わかっているの?」
なにをした?いや、なにかした覚えはない。むしろ……
ーーーー何もしていない
「わかっていないようね。いいわ。それなら自分の目で確かめて来なさい」
「世界を回って反省と責任を取りなさい」
はっ?いや、待て!そんな事したら、ダラけて煎餅食べながらアニメ見れないじゃん!
「お姉様!女神様!おお……神よ!お許しください!」
「せめて今クールが終わるまでまっ……」
身体が光に包まれる。ああ……これが転生か……スライムになれるかな?できれば村人Aがいいな。
最後のセリフも言えないまま、そこで俺の記憶がなくなって今に至る。
視界にあるのは一面の青い空、草が頬を撫でる感覚を味わいながら俺は呟いた。
「だりぃな……」