表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プラとチナの二人旅  作者: ジョン
8/70

雲の上にて

「……きなさい……起きなさい、チナ!」


「ん? ……なんだ、朝か……って、あれ?」


チナは小首を傾げた。


それもそのはず、目の前に広がっていたのは見慣れない白い綿の大地だったからだ。


「……どうやら、まだ夢の中にいるようだな。ふぁあ、お休み」


「ちょっと、なに平然と二度寝しようとしているのよ。起きなさいよ」


「なんだよ、ここはまだ夢の世界だぜ。見ろよ、美味しそうな綿菓子がそこらじゅうに散らばってるじゃないか」


「なに寝ぼけてんのよ、あれらはそんな甘いもんじゃないわ」


「甘くない綿菓子だと? 一体なんだというのだ?」


「見てわからないの? いい、このあたり一面に広がっている白いものは、何を隠そう、雲よ!」


「……どうやら、寝ぼけているのはプラ、お前の方だな。人間が雲の上なんぞに立てないのは、流石の私も心得ているぞ」


「私だってにわかに信じられないわよ。けど、現に私たちは雲の上に両の足をついているんだもの、信じる他ないわ」


「ふむぅ、そうか……まあ、降り立ってしまったものは仕方がない。せっかくの機会だこの綿の庭園を見学するとしよう」




「……」


「……」


「……存外、つまらないものね。どこまでいっても白一色、なんの面白みもないわ」


「だな、足が疲れただけだ」


「ねぇ、チナ。私、ここに来てからずっと疑問に思っていたことがあるのだけど」


「何よ?」


「雲って、どんな味がするのかしら?」


「そんなもの、水に決まって……」


「待って、言わないで。お願い私の夢を壊さないで」


「夢だぁ? まさかお前さん、雲が綿菓子の様に甘いものだと思っていたりせんだろうな?」


「お、思っているわよ。悪いかしら?」


「悪かない。だが現実はそんなに甘いものではないぜ」


「果たしてそれはどうかしら」


「強気だねぇ。では、食してみせよ!」


「望むところよ!」


そう言うと、プラは足元の雲をちぎり、口に入れた。


「……」


「どうよ?」


「……水ね」


「だから、言ったじゃん」


「チナ……どうやら私は雲に夢を見すぎていたようね」


「元気だせよ。そのうちいいことあ……ん?」


チナがそう言いかけた次の瞬間、先ほどプラがちぎった箇所を皮切りに、足元の雲が崩れ落ちた。


「え、ちょ、嘘ぉおおおおお!!」




「……きなさい……起きなさい、チナ!」


「うぅ……はっ!」


チナは勢いよく体を起こした。


「……夢?」


「どうしたの、ひどくうなされていたけど。柄にもなく悪夢でも見たのかしら?」


「悪夢……そうだな。そんなところだ」


「へぇ、あんたがそんなになる悪夢なんて、一体どんな内容だったのかしら?」


「なぁに、雲の上から落っこちるっていう、つまらない夢さ」


「……」


「……ん? どうした、プラ?」


「……その夢、私も今朝見たんだけど」


「……」


「……」


「……気持ち悪っ!」


「こっちの台詞よ!」


今日も二人の一日が始まる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ