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プラとチナの二人旅  作者: ジョン
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お化け屋敷を見つけて

「おっ、なんだこの行列は?」


街中を歩くチナが言った。


「あらホント。すごいわね」


隣を歩くプラが言った。


二人の目の前には長蛇の列ができていた。


「並んでまで食べたい、そう思う程に上手い料理店なのか」


「ちょっと、なんで料理店だって言えるのよ」


「だって、行列つくる場所なんて、料理店ぐらいしかないだろ」


「狭いなー。視野が私のおでこ並みに狭すぎる」


「お前のでこが他人とくらべてどうなのかは知らんが、料理店以外に行列ができる場所があるのか?」


「そんなもん腐るほどあるでしょ」


「例えば?」


「例えばー……」


「……」


「……」


「……」


「……うーん」


「うぉい! 全然ねぇ! 全然腐んねぇ! 産地直送! 新鮮そのもの!」


「あーあれだわ、人気の……床屋?」


「散々悩んで出たのがそれかよ! つーか人気ならなんでもありだろ!」


「む、確かにそうね。これは一本とられたわ」


「何と勝負をしているのか分からんが……で、この行列はなんなのだ? 床屋以外で」


「ちょっと、さらっと床屋の可能性を捨て去るんじゃないわよ」


「断捨離よ、断捨離。いらないもんは捨ててかなきゃ」


「くぅーっ、なんてドライな奴!」


「悔しがり過ぎだろ……とにかく、行列の先へ行っみようぜ」


「しょうがないわね」


二人は行列をたどって歩き始めた。




「なんだなんだ? 「恐怖の屋敷」?」


行列の先頭にたどり着いたチナは、目の前の建物にかけられた看板を読み上げた。


「あー……そういうこと」


プラが冷や汗を浮かべながら言った。


「ん? どういうことだ?」


「察しが悪すぎよ。ここはお化け屋敷よ」


「お化け屋敷? こいつは驚いた。お化けも屋敷を持つ時代か」


「そこぉ!? まあ、お化けが住む屋敷に違いはないけど」


「むー、よく分からんが、とりあえず入ってみるか。プラ、最後尾に戻ろうぜ」


「はぁ? あんた正気?」


「うん。生まれてこのかた」


「すっごい自信。じゃなくて、本気でこのクソ長い行列に参加するつもり」


「当たり前だろ。横入りは終身刑ものだぞ」


「罪に対して罰が重すぎる。私はいやよ、こんな行列にならぶのなんて」


「……行列、ね」


「な、何よ?」


「いや別に。じゃあやめるか」


「え? 何よ急に?」


「いや、アタシに他人の弱味に付け入るような趣味はないのでね」


「よ、弱味って……あんた、まさか!」


「気にするなよ。人間だれしも怖いもののひとつやふたつあるものさ」


チナがニヤつきながら言った。


「く、屈辱!」


プラはその場に膝を着いた。


この日を境に、チナはやたらと怪談をつぶやくようになった。

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