表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プラとチナの二人旅  作者: ジョン
57/70

石の上にて

「さぁて、そろそろ休憩にするか」


林道を歩くチナが言った。


「そうね。もう足が棒になっちゃったわよ」


隣を歩くプラが足をさすりながら言った。


「棒ね。どうやらお前の足は大根役者のようだな」


「誰の足が大根よ。三枚におろすわよ」


「大根だけに、か? ちょうどいい、大根おろしでも食べたい気分だったんだ」


「おあいにく様。ここには大根もおろし器もないわよ」


「そりゃ、残念。まあ、ここは水で我慢するとしよう」


そう言うと、チナは水筒を手に、近くの小石に腰かけた。


「あっ、カウントスタートね」


プラが言った。


「は? カウント? 何のだ?」


そう尋ねながらチナは小石から立ち上がった。


「はい、三秒と」


プラが言った。


「……まさか、石の上にどれだけいられるか、というカウントか?」


「ええ、そうよ」


「これぞ摩訶不思議。なぜ、そのような古代文明の謎よりも不可解なカウントをするのだ?」


「なぜって? 私が長年、気になって止まない、石の上に人間が三年もいられるかという疑問、その答えを導き出す為よ」


「……今の瞬間、アタシの中にもひとつの疑問が生まれたよ。なぜ、お前はそんな下らない疑問に長年もとらわれているのか、という疑問がな」


「私が何に疑心を抱こうが私の自由よ。それより、今はあんたのその疑問より、私の疑問の方が優先よ」


「天は人の上に人をつくらず。優劣をつけようとするのは、自分が劣等種だと自白しているのと同じだ」


「あんたも結局、優劣つけているじゃないのよ」


「おっと、痛いところを疲れたな。優秀な奴だ」


「お褒めの言葉、ありがとう。でも、私は人の上に立つより、人が石の上にどれだけの時間いられるか、に興味があるのよ」


「そんなに気になるなら、アタシでなく自分で試せばいいじゃないか」


「……それはそうね。盲点だったわ」


「……日頃から、人使いが荒い故の見落としだな。分かったら場所を交代しよう」


「そうね」


二人は居場所を交換した。


「……それでは行きましょうか。カウント……スタート!」


掛け声と共に、プラは石の上に腰かけた。


「……」


「……」


「……どうよ?」


チナが尋ねた。


「ん? 別になんともな……あっ!」


「どうした?」


「ちょっと。話かけるから時間が分からなくなっちゃたじゃないのよ」


「え、ああ。そりゃすまん」


「……」


「……」


その10分後、プラは尻が痛いと言って、石の上から立ち上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ