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プラとチナの二人旅  作者: ジョン
37/70

ビッグになりたくて

今日もプラとチナは森の中を歩いていた。


「……」


「……おっとと」


「……」


「……ととと」


「……そろそろ突っ込もうかしら。なんであんたつま先立ちで歩いているの?」


プラが尋ねた。


「……ふぅ、随分と長い間、放置してくれたな。おかげで私はいい晒しもんだ」


つま先立ちを止めたチナが言った。


「あんたが勝手にやってたんでしょうが。で、なにゆえ?」


「シンプルな解さ。少しでも自分を大きく見せたくてね」


「いや、その為につま先立ちをするっていくらなんでも地味過ぎるわよ。というか、あんた私より身長あるじゃないのよ。贅沢言ってるとはたいて、その背、縮めるわよ」


「やれやれ、これだから最近の若者は、身長だけでなく気も短くてしかたない」


「あんただって最近の若者じゃないのよ」


「そりゃそうか。じゃなくてだな」


「何よ」


「お前に勝つ程度の体の大きさじゃ、この危険ばかりの潜む世界で生きて行けないと言いたいんだ」


「随分はっきり言ってくれるじゃないの、むしろ清々しいわ。でもどうせやるならもっと思い切ってでかくなりなさいよ」


「ほう、例えば?」


「そうねぇ……もっと筋肉をつけるとかは?」


「面倒臭そうだな。却下」


「いきなり努力を拒否!? 小さい! 体以前に人としての器が小さい!」


「そんなこと言ったって、努力するのは面倒臭いに決まってるだろ?」


「そうね」


「……認めるのかよ。お前も大概、器がミニマムだな」


「いいのよ、態度はでかいから」


「自覚があったのか」


「まあね。で、結局の所、あんたは努力なしの、付け焼き刃のデカさが欲しいって訳ね」


「バラのようにトゲのある言い方だが、まあそう言うことだ」


「そうなると手段は限られて来るわね」


「というと?」


「……ズバリ! ファッションを変えるしかなさそうね」


「金がかかるな。却……」


「少しは妥協しろ! というかあんたはいつも独断で変なモン買ってるでしょうが!」


二人は次の街に着くと、服屋に寄った。




「……で、散々迷ったあげくに選らんだのがそれだと」


服屋を後にし、再び森の中を歩くプラが言った。


「おう」


そう答えるチナの両肩には大きめの肩パッドが装着されていた。


「あの店、何でこんなもの置いてるのかしら……一応、それを選んだ理由を聞かせて頂こうかしら?」


「シンプルな解さ。肩幅が広いと体が横に大きく見えるからだ」


「ホントに単純な思考回路してるわね。それにそれ、結構いいお値段したし」


「そんな小さいことはいいじゃないか、今のアタシの大きさで元を取ってやるからさ」


「元って……どうやってそんなもの取るっていうのよ」


「それはだな……おっ、こっから先は細道だな」


そう言うとチナは両肩の肩パッドをはずした。


「は? なんではずすのよ?」


プラが尋ねた。


「なんでって、こんな細道歩くのにこんなものつけてたら邪魔で仕方ないだろ」


「……だったら最初からそんなもの買うなぁ!」


プラの怒号が森中にこだました。

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