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プラとチナの二人旅  作者: ジョン
34/70

ダウジングにて

「宝探しって、憧れるよな」


山道を歩くチナが言った。


「……宝そのものがじゃなくて?」


隣を歩くプラが言った。


「はぁ……これだから現実主義者は。ロマンって奴が分かってないねぇ」


「ロマンじゃ飯は食えないわよ」


「冷めた奴だな。まるでこの鉄の棒のような……おや? こんなところにダウジング棒が!」


そう言うとチナはふところからわざとらしく二本のL字の鉄棒を取り出した。


「……」


「……」


「……おや? こんなところにダウジング棒が!」


「いやいや、二度もやらなくていいわよ。分かったから」


「こっちこそいやいや、分かったのならもうちょっと乗っかって来てくれよ。恥ずかしいじゃんか」


「そんな胡散臭いもの買ってる時点で十分に恥ずかしいわよ。何? そんなもので宝を見つけようってわけ?」


「うん」


「うわっ、一片の曇りもない真っ直ぐな返事。こりゃあどうしようもないわ。やらせてみて痛い目見てもらう他なさそうね」


「やる前から失敗するって決めつけるなかれ。宝の分け前あげないぞ?」


「……」


「……」


「……それは困るわ」


「……現金な奴だな」


二人は近くの岩場へと入って行った。




「あれーっ、おかしいなー。全然反応がないや」


鉄棒を手にしながら岩場を歩くチナが言った。


「ほらみたこと、所詮、そんな棒切れで宝探しなんて、夢物語にすぎないのよ」


プラが言った。


「くそぅ、我が夢はうたかたのごとく空に消えゆく定めなの……ん?」


「どうしたの? フェイントならいらないわよ」


「いやいや、なんだこの大きな反応は……間違いない、この棒の指し示す先に宝がある!」


すると二本の鉄棒の先端はプラを指し示した。


「……え? 私?」


「……そうか、そういうことか」


「いや、どういうことよ」


「宝の正体は……共に旅するかけがえのない仲間のことだったんだよ!」


「うん、ごめん。全然、意味わかんない」


「ちぇっ、つまらん奴だな。せっかくいいこと言ったってのに」


「どこがよ。反応があったのは私の背後の岩場でしょ。バカ言ってないでとっととその宝を掘り起こしましょう」


「……さっきとは打って変わってやる気じゃないか。夢物語だなんだの言っていたのはどこの誰だったかな?」


「別に、本当に宝があるなら、それに越したことはないってだけよ」


「……本当に現金な奴だな。まあ、いいけど」


二人は力を合わせて、反応のあった場所を掘り起こした。


すると、そこから黄金に輝く石が見つかったのだった。


「……やだ、本当に見つかっちゃった」


若干引き気味のプラが言った。


「……ああ、いざ見つけると喜びより動揺が先に来るな」


同じく引き気味のチナが言った。


「……で、どうするの?」


「どうするって……鑑定所に持っていくしかないだろう。このままじゃ漬け物石くらいにしか使い道がないし」


「そ、そうね。行きましょう」


二人は町に引き返し、鑑定所に向かった。




「……」


「……」


「……一銭にもならなかったね、この石」


鑑定所から出たチナが重い口を開いた。


「……そうね」


大きく肩を落としたプラが言った。


「いやいや、いくら何でも落ち込みすぎでしょ。前向きに考えようぜ。綺麗な漬け物石が手に入ってラッキー! って」


「……そりゃ落ち込みたくなるわよ。一銭にもならなかったのよ。これじゃあパンの一つも買えないわ……というか、私達、漬け物なんて作ってないし」


「そりゃそうか……まあ、でもアタシは今回のことで気づいたよ。どこからか見つけ出すまでもなく、アタシはすでに宝を手にしていたんだ……プラ、お前という名の仲間という宝をね」


「ああ、そう」


「……」


チナも大きく肩を落とした。

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