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プラとチナの二人旅  作者: ジョン
22/70

体重を気にして

「なあプラ、聞いてもいいか?」


チナが言った。


「……私に答えられることならどうぞ」


プラが言った。


「最近……アタシ太ったか?」


「……」


「……」


「……うん」


「くーっ! やっぱりか、やっぱりそうなのか?」


「ええ、残酷だけどこれが現実よ」


「なんて心無い現実なんだ! アタシは信じないぞ、こんな現実!」


「チナ、前に進む為には現実を受け入れるしかないのよ。ちょうどそこにシーソーがあるわ。あたしと一緒に乗って、その目で現実を確かめなさい」


「なんでこんなところに都合よくシーソーが?」


「さあ、神様の粋な計らいじゃない?」


「ぐっ、神でさえもアタシに牙をむくというのか!」


「あんた何様よ。いいからシーソーの片端に乗りなさい」


二人はシーソーの両端にそれぞれ座った。シーソーは地面と平行になった。


「……」


「……」


「……プラ」


「ああもう分かってるわよ! 皆まで言うな! 私もこの残酷な現実を受け入れるわよ!」


「お、おう。なんかすまんな、アタシの巻き添えで知られざる真実を知る羽目になって」


「い、いずれは知ることになる真実よ。それよりこの現実に立ち向かう術を考えましょう」


「つまりダイエットって訳か。しかし妙だな」


「この期に及んで何がよ?」


「だってアタシら毎日のように歩き続けているだろう? 運動は十分行っているはずなんだがな」


「確かにそうね……あっ! あれよパン! 最近、パンばっか食べてたせいじゃないの?」


「それで太るもんかなぁ? まあ、太ってしまったものは仕方ない。潔くダイエットに勤しむとしよう」


「そうね。食事に気を使うことは当然として、運動はどうしましょう?」


「こうしないか? 今まで歩いてたのを走るようにするってのは」


「いいわね、それだけでも大分違うと思うわ」


「よし、決まり! そうと決まれば早速走ろう!」


「ちょっと、準備体操を忘れるんじゃないわよ」


「おっとそうだった」




そして一週間後。


「ふぅ、今日も大分走ったな」


チナが言った。


「ええ。進む距離も稼げるし一石二鳥ね」


プラが言った。


「いやいや、よく動いた後の飯は一段と上手く感じるから一石三鳥さ」


「訂正。共通の趣味が持てるようになって、以前より会話も弾むようになったし、一石四鳥よ」


「ははは、流石にそこまで来ると鳥が可哀想になってくるな。さてそれじゃあこの一週間の成果を確かめてみるとするか。そこにシーソーがあることだし」


「相変わらず都合がいいわね。まあいいわ、乗ってみましょう」


二人はシーソーの両端にそれぞれ座った。


シーソーは地面と平行になった。


「……ええと」


「……これは一体」


「いい方向に考えれば二人とも痩せた。悪い方向に考えれば二人とも太ったままってことね」


「というか二人一緒にダイエットしたら意味ないのでは?」


「そもそも以前乗った時に、あんたが太ってたかどうかも不明瞭ね」


「……」


「……」


「……ダイエット続けるか」


「……そ、そうね」


そう言うと二人は仲良く夕日に向かって走り出した。

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