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プラとチナの二人旅  作者: ジョン
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化石を見つけて

「おいプラ見ろよ、化石を見つけたぜ」


チナが土にまみれた物体を掲げながら言った。


「……唐突に唐突ね。どっからかっぱらってきたの?」


プラが言った。


「盗品じゃない! 自分のこの手で地中から手繰り寄せたものだ!」


「そう、面白みのないいたずらする奴もいるものね。地面におもちゃ埋めておくなんて」


「偽物だというのか?」


「当り前でしょ、化石なんてそう簡単に手に入るものじゃないわ。例えるなら雷に打たれる並みの確立よ」


「晴天の霹靂、まさしくその雷が今、アタシに落とされたんだよ」


「そう、してその焼き加減は?」


「ウェルダン」


「黒焦げじゃないの。よほどの自身があるのね」


「まあな。しかし、こいつは一体なんの化石なのだろうか?」


「そんなことは、街で鑑定士かなんかに聞けばわかることじゃない」


「相変わらずの遊び心のない奴だ。正体が分かるまでの間に、なんの化石かを妄想するのがお楽しみだというのに」


「そうは言っても、あんたごときに掘り起こされた代物じゃ、たかが知れてるわ。きっとバナナの皮かなんかでしょうよ」


「はたしてそいつは化石になるのか? って、そんなわけがないだろう! きっと古代の飛龍のどっかのパーツに決まってる」


「飛龍とは大きく出たわね。ま、所詮は妄想。好きなだけするといいわ。ただし、程々にね」


「どういう意味だ」


「だってあんまり大きな期待をしといて、実際には大したことのないものだったらへこむでしょ?」


「む、それはそうだな……じゃあ」


「ん?」


「玉ねぎの皮ってことにしとくか」


「急激に期待値を下げ過ぎよ! さっきまでのあんたはどこにいったのよ! 泣けてきちゃうじゃない!」


「玉ねぎだけにか?」


「おっ、座布団一枚」


「いらないよ。ともかく、こいつの正体が早く知りたいな。なあ、走ってとっとと次の街に向かわねぇか?」


「構わないわよ。焦って化石(仮)を落として壊したりしていいって言うんならね」


「……そうなったら一大事だな。よし、じゃあいつも以上にゆっくり歩こうぜ!」


(あっ、これ余計な事言っちゃったわね)


二人は露骨な抜き足差し足で街へと向かった。




「ふぅ、やっと着いたぜ」


「……なんか二日分歩いた気がするわね」


「そりゃ、大袈裟だな……ところで、アタシらはなぜこんなにもゆっくりと歩いていたのだ?」


「相変わらず容量の小さい脳みそしてるわね。化石でしょ! 化石!」


「おお、そうだった。それじゃあ早速鑑定してもらいに行って来るよ。プラは休んでいてくれ」


「了解。吉報を待っているわ」


「おう!」




「……あ、帰って来た。どうだった?」


「ふふふ、聞いて驚くなよ」


「ほう、分かったわ」


「この化石の正体……それは!」


「ごくり」


「……」


「……」


「……おもちゃ……だったよ」


「……」


「……」


「……ハンカチ使う?」


「……ああ」


チナはプラのハンカチを涙で濡らした。

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