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廃人ゲーマーはなぜ神をぶん殴ったのか  作者: 執行猶予
第一章 途轍もない努力?神に貰った力?いえ、裏技です。
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第4話 魔王の配下

 巨躯な体と大きな爪。全てが野生の武器となり、天候をも操る聖獣の、鑑定結果がこれだ。


 Race:レインベアード

 Title:聖獣

 Lv210

 HP:2140/2140

 MP:2196/2350

 AT:1682

 DF:1660

 SP:1244

 TE:392

 Skill:【豪雨】雨に水属性物理ダメージを付与

【水属性魔法Lv7】【天候魔法Lv6】【身体強化Lv4】




 あり得ない、こんなにも聖獣が弱いはずがない。Lv210?比較的弱い聖獣のアポロスコーピオンでもLv400は下回らないし、前に出会ったレインベアードは確かLv570くらいだったぞ!?

 まさか魔物すらも平和ボケしているのか?


「グルァアアアア!!」


 レインベアードはなんとなく呆けた顔をしていたようだったが、“弱い”の意味を理解したのかブチギレて襲いかかって来た。

 四足歩行で走って此方に近付き、その上、頭上から水魔法【ウォーターランス】を数十の並行詠唱に、そして水でできた龍で相手を襲う【青龍の舞】の3段構えでぶっ放してくる。


 俺は水の槍を全て避け、龍に向かって拳を突き上げ、熊の頭を軽く蹴る。それだけで青龍は拡散し、レインベアードの頭は木々をなぎ倒しながら飛んで行った。


 ズシンと音を立てながら倒れる頭の無い熊。


「え、なにこれ」


俺は自分の足をまじまじと見つめる。あまり力を入れたつもりはない。しかし、なんだか信じられない速度で足が動いた気がした。気がしただけではなく、実際そうなのだろう。現に一滴も返り血がついていない。


「まさかここまでとは…プレイヤーと戦ったらうっかりPKしてしまいそうだ」


『スキル【手加減Lv-】を取得しました』


 あれ?こんなにスキルって軽く手にはいるっけ?


『勇者専用スキル【エクスペリエンスMastery】、通常スキル【経験値増加LvMax】、【能力獲得の心得LvMax】、称号《史上の到達点》、《異世界人》の効果です』


「wow」




 自分のスキルの量に呆れ、ボーッとしていた俺は、気を取り直してレインベアードのドロップを確認しようと思ったのだが…


「ドロップせずに本体が転がっているって事は解体しろって事だよな。」


 頭のない血だらけの熊は非常にグロい。内臓がなんかこうぐちょって、出てきている。うぇ…

 解体と言っても、自称自宅警備員が解体方法など知るはずもなく、そのままインベントリに仕舞う事にした。仕舞うと、


 レインベアード?


 とインベントリに、表示された。


「良かった。存在しないアイテムでも仕舞えるんだな。?は消したいけど…まあ、インベントリの名前設定なんて取る物好きは少ないだろうし名前も?ついたまま変えられないか」


『スキル【インベントリ設定Lv2】を起動します。レインベアード?の名前を入力して下さい』


「あれ?Lv2ってスキルポイント250だよな…?250人以上居た…の?」





 俺が今までに5回転生したという話はしただろうか。その5回中、2回はシャドウと盗賊だが、一度魔王になったことがある。クランメンバーとよく敵クランの国を侵略していたものだ。

 ちなみにその時はプレイヤーとしては4人だったが、1人5人の配下、全員合わせて20人近くのNPC魔族がいた。全員AIなので命令でしか動かないが。


 そして今、俺はまた魔王になれるのだ。魔を統べる者。よくよく考えればレインベアードを配下にしておけば良かったな。でもなんかあいつ馬鹿そうだったしやめとこう。

 話を戻すと、もう一度魔王になれば元配下の者達を召喚できるのか試す価値はあると思うのだ。理由は2つ。


 1つは、元の世界に戻るためにもこの世界がゲームを元にした物なのか、ゲームが元にしたのかを知りたい。ゲームが元になったのならば召喚は確実に不可能。俺の配下は存在しないんだからな。だが、ゲームを元に世界が創られたのならば召喚出来る可能性が高い。

 2つ目は、召喚できる前提ではあるが、この世界の情勢を聞きたい。人間はまだ生きているのか、どこにいるのか、魔族や他の種族はどうなのか…

 まあ、魔族達が知らない可能性だってあるし、これはついでだ。



『職業を魔王に設定しますか?』


選択画面が出たのでyesを押す。


『あなたは魔王になりました。専用スキルが解放されています。HP、MPが大幅上昇しました。全てのステータスが上昇しました。建国、配下育成、配下召喚、兵士召喚が可能になりました』


「召喚魔法発動」


『スキル【魔術LvMax】、固有スキル【魔王之覇気マニバリュート】を起動します。配下召喚を行います。真名を唱えてください』


「“エアル”、“テロス”、“フスィノボロ”、“ヒモナス”。来てくれ」


 地面に現れた赤い魔法陣が急激に輝き出し、その輝きが消えた頃には4人の男女が跪いていた。


「嗚呼、私の愛するみかん@廃人様、今日この日まで呼ばれるのをずっと待っておりましたわ」


「みかん あっとまーく はいじん様!!!あいたかった!」


 喋った!?え、いやそれよりこんな名前で呼ばれるの恥ずかしすぎる!!羞恥で死ぬって!!いやいやまて、こんなにテンパってたら魔王の威厳が…


『スキル【精神耐性LvMax】を起動します』


 ーーー落ち着いて来た。精神魔法への耐性だけじゃなく、心を落ち着かせることも出来るのかこいつ。


「久しぶりだな。4人とも」


 最初に喋った彼女はエル。“名”をエアル。金髪碧眼のボンキュッボンだ。凄いセクシーな真紅のドレスも着ているが、小悪魔サキュバスではなく、上位の悪魔侯爵である。


 2人目がテス。“名”をテロス。銀髪赤眼の幼女である。彼女はヴァンパイアで、種族的にも眷属にあたる。服は黒のゴスロリだな。


 喋らずに跪いている2人の“名”はフスィノボロとヒモナス。白髪黒眼の初老の執事がフィスで、緑髪黒眼のメイドがモナ。2人は確か精霊だ。


 精霊はどんな種族にも不干渉としているが、心を見るという特性からか、その人物の感情や想いに揺さぶられ、仲間になるという設定だった。(ゲーム内ではガチャ。世の中金だぜ。)こちらではどうなのだろうか。


「お久しぶりで御座います。魔王陛下。まさかカースヴァンパイアにまで上りつめておられるとは」


 執事のフィスが俺の種族を当ててきた。他の3人が驚いている。


「ーーー鑑定したのか?」


「いえ、それは流石に畏れ多い。ただ、召喚されるときに非常に強大なヴァンパイアの魔力を感じましたので」


 精霊の彼らは不老だ。寿命で死ぬ事はない。長く生きるのも当然だろう。

 悪魔は肉体に依存していないので、ある意味不老であるし、ヴァンパイアももちろん不老なのでここにいるのは全員不老である。いくら生きても年金払うだけ。


「すごいっ!テス、みかん あっとまーく はいじん様と一緒!それに髪の毛もテスとお揃い〜」


「まさか、みかん@廃人様は伝説の転生の儀をされたのですか?」


「モナ、確かに転生はしたが……そんなに大層なものではない。それとだな、あー、実はみかんあっとー…まー…うん。あの名前は仮の名前でな。本当の名前はカイトと言うんだ。今度からそう呼んでくれ」


「カイト様…ですか。承知致しましたわ。カイト様♡」


4人ともが肯定を示す中、エルの語尾だけにハートが見えるのは俺の気のせいなのだろうか。




 今の俺の現状を少し誤魔化しながら(別の世界から来たなど言えるはずもなく)話し、この世界の情勢を教えてもらった。主にフィスに。というか全てフィスに聞いた。エルとモナは知らず、テスに限っては、理解出来ていなかった。大丈夫か不老長寿の種族……


 フィスに聞いた話から考えると、プレイヤー達の大体は死んだことにされているようだ。

 理由としては、各地で天災が起き、ほとんどの生物が死にいたり、それに巻き込まれたとなっている。人族だけでなく、魔族やエルフ、ドワーフなどの亜人系種族も無事では済まなかったらしい。しかもその天災、強い生物、つまりは聖獣やプレイヤーなどの付近で起きたらしく、それが事実ならプレイヤーやNPCが同時にデスした可能性が高い。

 死に戻りは教会で治療をしてもらってからという設定なのだが、この人数の同時死は流石の最強くんサーバーも耐えきれず崩壊し、全員が強制ログアウトといったところだろうか。

 ここで、地球側の世界でKOSを復活させたとしても、こちらはいわば別世界であり、結果、プレイヤーが死んだとして辻褄合わせていると。これが1200年前の話。


 いやはや、どう考えても理解不能だ。ゲーム内に天候データはあるが天災などあるわけもないし、強者の近くで発動し、しかも倒すなど以ての外。運営がとち狂って廃課金者を全員リスポーンさせるような頭の悪いイベントがあったか、何らかの干渉があったと考える方がいい。

 干渉に関しては、俺の称号に[異世界人]とあることから、ほぼ確定と言っても過言ではないだろう。急にそういうゲームになっていたとしても困るし。

 そして、俺が強制ログアウトされていないこの状態。これは多分俺のコンピュータが莫大な量のデータを貯めていたせいでフリーズしていたか壊れたからログアウトできなかったのではないだろうか。普通壊れたらログアウトするだろうが、現に俺はここにいる。これも確定はできないな。

機器の故障によって取り残されたとして、【インビジブル】の効果で干渉した相手も気付かずに俺はここに転移し、そのまま余剰経験値で進化していたので死ななかったと。気絶を数千年しているのも意味不明ではあるが、現に俺は千年生きた存在に進化している。


この仮定を頭の隅に置くと、大きな疑問ができる。たかが1ゲームに、何の目的で、一体どんな存在が干渉したのか。


「よし、フィス、この辺りににんげ───あー…対話可能な知的生物が住む場所はあるか?」


「海を渡り西に進むと大陸があり、人族の国がいくつか並んでありますな。また、少し遠くなりますが南西にエルフの国が、その奥に獣人の国が2国あるようです。ドワーフや竜族、魔族の国もありますが、西南西に数百kmはございます。」


「そうか。ならまず、1番近い人族に会いに行こう。数が多いから情報は伝わりやすいはずだ」


プレイヤー達を他のNPCがどう認識しているのか知りたいしな。エルフとかなにも答えてくれなさそうだし。


 転移門は完全に壊れていて使用できなかったが、街の場所はフィスが知っているそうだ。そのまま向かおうと思う。

 ───だが、先にこの人間(下等生物)嫌いの魔族達を説得しないとな。

称号《史上の到達点》

獲得条件 Lv999

効能 スキル取得効率1.2倍、スキル熟練(スキルのレベルアップ)1.1倍、全ステータス強化(小)

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