第1章
僕が昔趣味で書いた小説です。正直文法もグダグダです。現在連載中の鉄騎兵戦争録の書けなかった週のつなぎです。温かい目で御覧ください。
※唐突に終わるので(しかも良い所で)そこはご了承下さい。要望があればまた書くかもしれません。
第一章 着任
第24期士官候補生ヴォルフ・ファルケンハインは、ルプシュ地方第一要塞司令付参謀に任官した。これは本人の意向ではなかったが、本人は悪い印象を受けなかった。
「いきなりこの前線へ行けとは、上はそんなに俺を死なせたいのか。」
そうは言うものの、ヴォルフはこの任官が嬉しかった。前線なら戦果を挙げられるし、参謀なら戦略的な案を言うことができる。
「もっとも、士官になりたての俺の意見を聞いてくれる奴などいないだろうが。」
愚痴をこぼしながらも参謀会議に参加する。会議室に入ると会議は始まる寸前であった。
「遅いぞ少尉。」
「申し訳ありません。何しろこのあたりの防衛が充分でないものですから慎重に向かわざるを得なくて。」
さり気なく皮肉を言う。ヴォルフは士官学校時代からこの皮肉癖で度々問題を起こしていたが、この時は相手がそれに気づかなかったために問題にはならなかった。
「これより定例参謀会議を始める。」
会議が始まると各部隊長が現状を報告する。
「現在我が軍は敵の包囲下にあり、補給線も切れかけており、一刻も早くこの状況を打開するべきであると思います。」
そんなの当たり前だ。と思いながら報告を聞く。
「15日後に援軍が来ます。それまで何とかしのげれば・・。」
「だめだ。物資が持たん。」
「敵は五つに分かれて我軍を包囲しております。」
「敵の司令官は?」
「ヴラジスラフ・ヴァシレフスキー中将であります。中将は敵国の建国時からの古強者で、兵の士気はとても高いものと思われます。」
「いっそ降伏するか。」
「!」
「この裏切り者っ」
「そこまでにしておけ。」
「・・・」
「他に意見のあるものは?」
「・・・」
「この戦場には馬鹿しかいないのか。」
またやってしまった。とヴォルフは後悔した。この場で皮肉を言うとは。とにかく言ってしまったものはどうにもならない。
「貴様は優勢である敵がバカだというのかね?ヴォルフ少尉?」
「誰もバカなのは敵だとは一言も言っておりませんが・・・。」
「では我々がバカだというのか!。」
「そうとも言っておりませんが。」
「ヴォルフ少尉、君には何か考えがあるのかね?」
「はい。」
「言ってみろ。」
「はい。敵は長時間の包囲により負けることはないと思っております。それは敵の防御の薄さが証明しています。本隊が前線へ出てきており、簡単に叩くことができます。数的にもこちらが有利であります。」
「それで?」
まだ分からんのか。と失望しながらヴォルフは続ける。
「まとめると、一気に全軍を上げて敵本隊を叩けば、敵の士気は下がり、撤退させる事ができます。」
「しかし、リスクが高くないか?」
「このままじっとしていれば物資が尽きるだけです。」
「わかった。卿の意見を採用する。ただし、」
「ただし?」
「卿が直接指揮をするように。」
死にたくないということか。そう思いながらも命令に従う。
「分かりました。」
そう言うとヴォルフは会議室を後にした。