第九章 夢
「ねぇねぇ、一真くん私と付き合って」
この声は夏姫の声だろうか?とても綺麗な声だ。
「ダメだよ、主馬。私と付き合ってるんだから」
「一真くんは私のものです」
「いいや、私のものですぅ」
おいおいやめろって、俺で取り合いするなよ。
「か~~ず~~ま~~、早く起きなさい!」
この声のせいで俺は目覚めてしまった。
「なんだあれは夢か」
現実であんなことが起きたら、それはそれで困るけどな。
早くしないと学校に遅れてしまうので、俺は急いで着替えた。
リビングに行くと、朝食が置かれていたのだが……朝からは食えない食べ物だった。
「朝から何でステーキなんだよ。胃がもたれるじゃないか」
「まぁ、いいじゃない。嫌なんだったら今日の朝食はなし」
こんなものを朝から食えないので、朝食を食べずに学校に行った。
俺が、教室に入ると紗綾がこちらに来た。
怒った顔で。
嫌な予感しかしないんだけど。
「お、おはよう紗綾。どうしたんだ?そんな怒った顔なんてするなよ。紗弥の可愛い顔が台無しじゃないか」
俺は、褒めて怒りを抑えようという作戦に出た。
紗弥の顔が緩んだ。
次の瞬間、予想もつかない言葉が返ってきた。
「えっ?私ぜんぜん怒ってなんかないよ。怒る理由がないもの」
「でも、すごく不機嫌そうな顔してたじゃないか」
「たまにそういう時があるのよね。無意識にそういう顔になることが」
「そうだったのか。ならいいんだ」
ホームルームが始まるチャイムが鳴ったので、俺たちは急いで席に着いた。
はいどうも、漆黒の帝王です。
今回も読んでいただきありがとうございます!