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第三十四章 休憩中......

 結論から言えば、白崎はやはり拗ねてしまった。

自分なりに頑張った甲斐もあって、最高記録を更新するだけの数値は叩き出したのだが、

白崎はそれをあっさりと更新した。

具体的に言えば、俺の1.5倍の数値を叩き出したのだった。


そりゃあ、白崎とて女の子だ。

ただサンドバックを殴るという行為に全力で行こうなんて思うはずもないが、いかんせん。

彼女の基礎的な腕力とセンスは、機械を作った人間が想定していた基準を遥かに越した場所にあったのだ。


どよめく観衆の中、静かな怒りを燃やす白崎の手を引いて、外へ。

遅めの昼食を取るために外に設けられたカフェに腰を落ち着ける。

白崎を座らせ、二人分の昼食を注文する。

これで帰ってくるまでにナンパ男にでも絡まれていたら、それこそ血の海を見る羽目になっていたろうが、今の白崎の機嫌の悪さを感知できない人間はさすがにいないらしく、喧騒に溢れているはずの園内も、白崎の周りだけは隔離されたように静寂に満ちていた。


「サンドイッチのセットだけど......これでよかった?」

「ありがとうございます......」

「何度も言ってるかもだけどさ。そう深く考えないでもいいと思うよ?違うってことを気にするなんて今さらだし、俺はちゃんと白崎がかわいいってことは理解しているから」

「......あなたが、私を大事に思ってくれていることは解かっています。でも......それとこれとは半紙が別です。これじゃあ、女の子としては立つ瀬がありません」

「そりゃあ、申し訳ない。俺がもっと頑張ってればよかった」

「いえ、私が最初からやりたい、なんて言わなければ済んだことでした。自分で生み出したことで勝手に機嫌を悪くするなんて......まるで子供ですね」


ふぅ、と小さなため息をつき、ジュースに口をつける。


「あなたにも迷惑をかけてしまったわ。ごめんなさい」

「いいって。拗ねた白崎ってのも、結構、いや、凄くかわいいんだからさ。いろんな白崎を見れるってのは、何て言うのか、嬉しい」

「そう言ってもらえると助かります」

怒りとか空しさとか、そういった物をすべて吐き出そうとするかのように、白崎は大きく息を吐き、笑みを浮かべた。

つられて俺も、微笑む。


「さ、これを食べて、また色々やろう」

「はい。よろしくお願いします。一真」


白崎に『一真』と言ってもらえたのは初めてだ。

なんか、嬉しいし、照れくさい。

はいどうも、漆黒の帝王です。

今回も読んでいただきありがとうございます!

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