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第三十一章 お化け屋敷

 紗弥の気持ちが分かってからモヤモヤした気持ちがとまらない。


でも、今はそれどころではない。

また、仲直りの印としてデートすることになったのだ。


そして、デートの約束の日である日曜日がやってくる。


デートの行き先は、ベタな選択だけど、遊園地だ。

俺たちの街から電車で一時間ほどの距離にある、この辺りでは唯一の遊園地。


余裕を持って、三十分前に待ち合わせ場所であるチケット売り場に到着すると、

当然のごとく白崎はまだ来ていなかった。

さすがに早すぎたかな......と適当に辺りを見回しながら時間を潰していると、

十分ほどして白崎が姿を現した。


「え、あ、あれ......?」

白崎は俺の姿を目に留めると、慌てたようにぱたぱたと駆け寄ってきた。

「じ、時間、間違えたかな?ご、ごめんなさい......っ」

「ううん、俺が早く来すぎただけ」

「そうか、なら早速行こう!」


とはいえ約束の二十分前にやって来たのだから、白崎も相当なものだと思う。

今日の白崎は、空に浮かぶ雲のように白いワンピース、麦わら帽子という服装だった。

シンプルで飾らない感じだけど、清潔感があって女の子らしくて、端的に言ってかわいい。


白崎と並んで園内へと入る。

日曜日なのにもかかわらず、園内はそこまで人がいなかった。

見通しのいい視界の中を、メリーゴーランドが明るい音楽とともに回っている。


「何から回ろうか?今なら乗り放題だ」

「ええと、それじゃああんまり激しくないものからがいい」

「それは俺も同意見」


話し合った結果、俺らがまず向かったのは、お化け屋敷だった。

これって、激しくないのだろうか?


白崎が何をしたかったのかは分かる。


いきなり出てくる『お化け』に女の子の方が驚いて、男に抱きつく。

普段はそんなことが出来るようなタイプででもないのに、『お化け』のせいでそれどころじゃない。

息が届くような誓い距離......それに気付くのはお化け屋敷を出てから。

そんな自分の状態に気付いた女の子は、いまさらのように真っ赤になって、ぎくしゃくぎくしゃく、と。

おそらく、白崎はそんな展開を望んでいただろうけども。


隣を歩く白崎は、これでもかというくらいに落ち着き払っていた。


そのあまりのリアクションの少なさに、逆に係の人が気まずさを感じているほどだ。


「終わったわね」

「そだね......」


小結論。白崎にとってお化け屋敷なんてものは、ただちょっとだけ暗いだけの場所だった。


はいどうも、漆黒の帝王です。

今回も読んでいただきありがとうございます!

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