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第二十四章 デート

 「はぁ......」


その唇から紡ぎ出されるのは、物憂げなため息。

その数がかれこれ、もう両手では足りないくらいに達しているのだが、それは本人にも、ついでにその仕草に心を奪われている人間にも関係のないことだった。


昼下がりとあるの喫茶店。

普段であればそんな気だるげな時間を楽しんでいるはずの学生たち__男性、女性問わず__沈黙を守っている。

有線から流れるBGMでさえ、どこかその空気にどこか遠慮している気配すら感じられる。


その場所は、一人の人間によって支配されていた。

長い艶やかな髪、気品を感じさせる物腰、加えて見る人間全てを魅了するかのような物憂げな仕草......。

その姿勢は、髪の領域か、魔の業か......いずれにしても、めったにお目にかかれるものではない。


喫茶店の客の中には、そこそこ普段から引っ掛けた女の数を競いあっているような連中すらいたが、

彼らの技術と胆力をもってしても、彼女に声を掛けるのは無理だ。

もし、彼女に平気で声を掛けられる人間がいるとすればそれは__。


「ごめん、白崎。待ったか?」

俺は、トイレに行っていて先に白崎だけこの店に行かした。


「ええ、待ったわ。でも、待っている時間を楽しむことも、最近出来るようになったの」

「得な性分だね、それは」

「私もそう思うわ。愛の......おかげでしょうか?」


物憂げだった彼女の顔に僅かな笑みが浮かぶ。

密やかな、それでいて絶大な破壊力をもったそれは、店の中の人間の隅々にいたるまで浸透していく。


「恥ずかしいこと言うな......」

「全然恥ずかしくなんてありません。恥ずかしいのなら、それは私への愛が足りない証拠です」

えっ?恥ずかしくないの?と思ったがここは白崎に合わせることにした。

「ん、悪かった。恥ずかしくなんてないぜ俺は、白崎のこと愛してるから」

「分かっているわ。私だって、ちゃんと愛されていますから」


「ははは」と、笑いながら俺たちは店を後にした。


少し歩いた所で、後ろのほうはから声が聞こえてきた。

「ただのバカップルじゃないか」

俺たちは、急に恥ずかしくなって急いでその場を離れた。


そのあと、俺たちはいろんな店を見て回った。

案外、服を見て回るのも悪くない。

それは、白崎と一緒にいるからだろうか?


俺たちは、最後の店を見て回った後帰ることにした。

俺たちは、ショッピングモールを出て側にあったベンチに腰を掛けた。


「ねぇ、あなたは今日のデートは楽しかった?少なくとも私は楽しかったわ」

「俺も楽しかった。またデートしような」

「ええ」

白崎はちょっと寂しそうに答えた。

今の俺にはなぜ寂しそうにしてたかは分からない。

そうして、今日のデートは終わった。

はいどうも、漆黒の帝王です。

今回も読んでくださりありがとうございます!

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