表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶対守護者の学園生活記  作者: 若鷺(わかさぎ)
第6章 学園~夏休み編~
70/169

ソフィの過去

 私は気が付いたら見知らぬ部屋にいた。頭には何かを付けられており、目の前には白衣を着た男がいた。


「こいつも不良品(・・・)か。処分だな」


 不良品。なぜか私はその言葉に恐怖を感じて、男を突き飛ばして逃げ出した。

 当然地理が分からなかったからガムシャラに走り続けた。

 そして一旦落ち着く為に近くにあった部屋へと逃げ込んだ。

 だがその部屋には地獄のような光景が広がっていた。


 事切れた子供達の死体が山積みになっていた。


 私はそれを見て、抑え切れない怒りを覚えた。まるで、家族を殺されたかのような。


 その瞬間、部屋の扉が開いた。

 入ってきたのは、白衣の男だった。


「逃げることが出来るとは。お前は中々知能が発達しているようだな。少し中身を見させてもらうか」


 男がそう言いゆっくりと近付いてくる。子供の死体など気にせずに。もしここで捕まってしまえば私も死んでしまうのか。殺されてしまうのか。


「こ、ないで……来ないでっ!」


 上手く声が出せなかったが、私はそう叫んだ。

 すると男が吹き飛び、壁へと叩きつけられていた。


「ぐっ、魔法まで扱えるとは……しかもこの威力……見たい! お前の中が見たいっ!」


 私は無意識に魔法を発動していたらしく、それを受けた男は這いずりながらも私の方へと再び近付いてくる。


 逃げるなら今しかない。

 そう思って私は駆け出した。部屋を出て、ただひたすらに。

 走って走って、さらに走って。

 気が付いたらいつの間にか外に出ていた。

 しかし疲労や飢餓などにより動くことすら困難になって私は倒れ、意識を失った。


 そして意識を取り戻した私は、ベッドの上で目を覚ました。

 傍には夫婦らしき男女がいた。

 どうやら倒れている私を助けてくれたらしく、身寄りが無いようなら今後も世話をしてくれるという。

 しかし私はその夫婦の話に集中出来ていなかった。

 部屋に備え付けられていた鏡。そこに映る私。


 私の容姿は、死体となっていた子供達と瓜二つだった。


 私は理解した。

 不良品という言葉。私と同じ容姿の子供達。白衣を着た研究員と思わしき男。


 私は造られた存在なんだ、と。


 子供達の死体を見て湧いた感情である怒り。それは本当に家族を殺されたからこその怒りだった。私と同じで造られた存在である子供達は家族のような存在だ。

 そんな家族が、無残に殺されていく。


 許せない。絶対に許せない。私が絶対に止めてやる。

 もう家族を失わない為にも。


 私の名前はソフィに決まった。私が名前を聞かれた時に、なぜか頭に浮かんだからだ。

 そうして私は拾ってくれた人達にお世話になりながら、自身を鍛え始めた。全てはあの男に復讐を、報復をするために。


 同時にあの男の所在を探し始めた。裏の情報屋にも協力を求めたりもした。しかし見つからずに、幾年かが経過した時、一つの情報が手に入った。


 王都付近で、怪しい男を見かけたと。


 あまりにもあやふやな情報だったが、何も手掛かりがなかった私にはそれだけで充分だった。


 そして私は王都へ来て、学園へと入学した。学園でより己を鍛え、あの男を消すために。


 その時の私はあまりにも無愛想であり、更には誰にも負けぬ程に強くなっていた。

 案の定私に勝てる者がいなかった中で、アリスに出会った。

 私はアリスに負けを喫し、悔しさのあまり何度も挑むようになっていた。


 その時からだろうか、戦うのが楽しいと思い始めたのは。


 アリスという友人が出来、純粋に実力を競い合う。復讐のために鍛えてきた私には分からなかった、互いを高めあうという楽しさ。

 私のこの口調もアリスのものが移ってしまったのだろうな。


 そして二年生となり、レオンに出会った。そこにはアリスでも敵わない、圧倒的な強さがあった。

 それを見て、私もいつかアレを超えることが出来るのだろうかとワクワクした。


 そしてレオンとアリスと鍛錬をするようになってから、毎日が楽しくなっていた。

 私は腑抜けてしまっていた。


 そんな時、学内最強決定戦にて襲撃者に言われた言葉。


『人形』


 そうだ。私は普通の生物ではない。あくまでも造られただけの、まさに人形。

 私はその言葉を聞いて、本来の目的を思い出した。

 そしてその日の夜に、私の元に届いた情報。

 王都近くの森にある洞窟にて、研究所らしき施設を発見したと。


 本来の目的を思い出した直後に分かるとは。

 私は研究所襲撃の決行日を夏休みの初日にすることにした。

 それまでに、腑抜けてしまった私を鍛え直す。


 そして決行日が訪れ、私はここに来て目的を達成果たした。

 この男を殺すことで、負の連鎖を断ち切れたんだ。







というわけでソフィの正体が判明しました。ソフィは人工エルフだったんだよ! 

この事実に繋がるように筆者が伏線として書いていたのが何個かあります。


一つ目に閑話の特訓回での魔法適性の実験が行われていたという情報。すなわち人体実験の技術が存在していたということ。

二つ目に誰かと容姿が似ているという情報。強力な個体を作ろうとしたらそれだけの実力を持った者の遺伝子が必要なわけで。耳を切り取られたとはいえ、かなりの力を持つエルフである誰かさんがいたはずです。名前も似てますし。

三つ目に襲撃者に言われた『人形』という言葉。これはそのまんまソフィが造られた存在だということを示唆しています。

あとの細かい所としては、学内最強決定戦の時のアリスの恋人作れ発言に一瞬暗い表情をするというのも、自分はあくまでも造り物であるからと人と深い関係になることを無意識に避けている故の反応だったりします。


こんな感じの伏線があったりしました。他にもあった気がしなくもないですが。ちゃんと伏線といえるものになっているかは自信が無いです。


それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。


筆者のモチベーション向上につながりますので、よろしければ是非ブックマークや評価をお願いします。感想もお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ