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絶対守護者の学園生活記  作者: 若鷺(わかさぎ)
第6章 学園~夏休み編~
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指名依頼

「偵察依頼……ですか」

「うん、誰もいないはずの洞窟から物音がするっていう情報が入ってね?」


 夏休み初日、俺は冒険者ギルドから招集をかけられた。ソフィ先輩から今日は朝の鍛錬に参加出来そうにないとの連絡を受け、鍛錬が中止になったのでのんびりしようかと思っていたんだが。


 とにかくそのまま冒険者ギルドへと向かい、リーフェさんから用件を聞き出していた。


「別に俺じゃなくてもいいんじゃ……」

「何かあったら困るからなるべくランクの高い人がいいってことになってね。それにレオン君は今日から夏休みで暇だったでしょ?」

「そうですけど……」


 なぜ暇だと断言するのか。いや確かに暇だったわけだけど、俺はそんなに忙しそうには見えないのか?


「とりあえずは分かりました。いつ行けばいいですか?」

「出来れば早いほうがいいね。今日とか」

「それじゃ、今日の夜辺りでいいですかね?」

「おっけー! それじゃよろしくね!」


 依頼の受注を済ませ、俺は冒険者ギルドを出た。

 よーし、帰って寝るぞ。


※※※


 その日の夜。王都近くの森にある洞窟の中を俺は歩いていた。

 しかし特におかしい所は存在しない。変な音もしないし、ただ奥へと洞窟が続いているだけだ。


「けど実は隠し通路があったりするんだよな、こういうのって」


 王城の王様の部屋などにもあったりするらしいしな。今度探させてもらおう。流石に無理か。

 とりあえず探してみるか。

 俺は体内から魔力を放出し、壁に沿わせるようにしてどんどん奥へと進ませていく。簡易的なセンサーとなっており、何か異常などがあれば俺に伝わるようになっている。大量の魔力を流し込むためかなり疲れるが。

 しばらくして一番奥までたどり着いたのか、行き止まりになっている。だがそこで違和感を感じた。


「穴が開いてるみたいだな」


 とりあえずそこまで行ってみるか。

しばらく走ると、調べた通り行き止まりにて大きな穴を発見した。ギリギリ人が通れそうな大きさである。

 

「入ってみるか」


 偵察だし入らなきゃいけないよな! 別に楽しそうだからってわけじゃないぞ!

 穴の中へと足を踏み入れ、歩き出す。しかし暗いな、どこまで続いてんだこれ。

 しばらく歩き続けると、段々と光が見えてきた。出口か何かか?

 しかし、そんな俺の予想は外れることとなる。


「なんだよこれ……」


 俺の目の前に広がる光景は信じられないようなものだった。 

 さっきまで洞窟にいたはずなのに、どう見ても人工である壁に奥へと繋がっている通路。そして鼻を刺すような臭い。まるで何かの建物の中にいるようだった。

 少しでも情報を得るために、近くにあった扉を開く。

 

「謎の色をした液体の入ったフラスコ、人が一人は入れるような大きさのカプセル容器。どう考えても研究所だよなぁ」


 まさにテンプレと言わんばかりの部屋の内装に、思わず苦笑いをしてしまう。

 もう少し詳しく探索してみたところ、一束の資料を見つけることが出来た。


「なになに? 魔力譲渡による適性増加実験報告書、か。聞いたことあるな」


 たしかユフィさんとの特訓初日で説明されたことのはずだ。魔力には熟練度のようなものが存在し、その人の使う魔法の属性に適した魔力へと変化する。そしてその魔力を他人へと無理矢理流し込むことでその人の魔法適性を増やすというものだ。俺もユフィさんにやってもらったおかげで多くの魔法適性を得た。


「つまりここはその実験が行われていた場所ってことか」


 しかし実験は結局成功せずに終わったと聞いていたが。なんで隠れるようにしてこの場所が残っているんだ?

 ま、そのためにももう少し調べてみるか。

 そして部屋を出た俺だったが、すぐに異臭に気付いた。これは……血の臭い?

 俺は急いで臭いのする方向へと駆け出す。一つの扉の前にたどり着き、思いっきり開く。


 その部屋の中央には、誰かが佇んでいた。


「そ、ソフィ先輩……?」


 そこにいたのはソフィ先輩だった。そして、両手に握っていた双剣には赤い液体がべっとりと付いており、その先には――


 白衣を着た男が、大量の血を流して倒れていた。


 





お読みいただきありがとうございました。


筆者のモチベーション向上につながりますので、よろしければ是非ブックマークや評価をお願いします。感想もお待ちしております。

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