鬼迫、そして馬鹿クラス
第6章の始まりです。海、合宿、他大陸訪問など色々とイベントがあります。嫁とのムフフな展開もあったりなかったり。あと新ヒロインも出ます。
カレン達と一緒に住むようになってから二ヶ月が経過した。あれから魔族の襲撃なども無く、平穏に暮らせていた。
七月となり夏を迎えたことで外も暑くなってきたが、俺達はいつも通り朝の鍛錬は欠かさずに行っていた。しかし前とは違うことが一つだけある。
「凄いな……」
「ああ、かなりの鬼迫だ」
ソフィ先輩の鍛錬への取り組み具合が変わった。学内最強決定戦が終わった後からだろうか?アリスの言う通り、鬼気迫るものがある。
より高みを目指しているのは俺も知っている事だが、やり過ぎじゃないかと思うぐらいの量をこなしている。
何かあったのだろうか……
※※※
「お前ら! 海だ! 水着だ!」
「「「うおおおおおおお!!!!」」」
ヤンキー先生の言葉に、俺を除いたBクラスの野郎共が雄叫びを上げる。
「……なにこれ」
「あれ? レオン君覚えてないの? 選抜合宿のこと」
「あれか」
選抜合宿。それは選ばれた者が行う合宿――ではなく選抜者を決めるための合宿である。八月の中旬に三泊四日で行われる。
では何のための選抜かというと、新学期の始まる九月に全大陸の学園合同による武闘大会が行われることが関係しており、その大会に出られるのが各学園から五人の選抜チームである。そのメンバーを決めるための合宿であり、今までの成績なども合わさって決まるようになっている。
「それで何箇所かあった合宿場所の候補から、エルフ国でやることに決まったみたい。宿泊地が海沿いにあるらしいよ」
「だからこんなに喜んでるのか……」
女子達の水着姿を見られるから興奮してるってわけか。なるほどなるほど。
野郎共はいまだに雄叫びを上げ、歓喜している。女子達はドン引きしているが。うん、いつものBクラスだ。
「さて……」
「レオン君? どこに行こうとしてるの? まさか混ざりに行こうなんて考えてないよね?」
立ち上がった俺の腕を掴んだミーナがそう聞いてくる。……ミーナさん?目が笑ってませんよ?思いっきり据わってますよ?
「いや、つい出来心というか……」
「レオン君は、ぼ、僕達がいるからいいでしょ?」
……やばい、少し怒りを覚えてしまった。もうこの際だからハッキリと言わせてもらおう。
「しょうがないだろ! 俺だってこの二ヶ月で色々溜まってんだよ! 可愛い女の子達とひとつ屋根の下にも関わらず、何も出来ないんだからな!」
羨ましい生活してるくせにとか言わないで欲しい。俺だって辛かったんだ。まだ責任を取れるような年齢になっていないため、そういうことも出来ず、生殺しの状態だったんだ。自分で処理しようにも誰かしらが必ず一緒にいたから無理だったんだよ。
「そ、そうだったんだ……ごめんね? 僕達のせいで……」
「あ、いや違うんだ。さっきの俺はちょっとおかしかっただけだ。気にしないでくれ」
「ううん。好きな人のことなんだから気にするよ。だからその……そういうことはぼくの心の整理が出来るまで、待ってくれると嬉しい、かな」
「お、おう……」
ミーナはこれでもかというほど顔が真っ赤にして俯いてしまう。俺もかなり顔が熱い。
お互いに黙ってしまい、静寂に押し殺されそうになる。
……?なんでこんなに静かなんだ?
不思議に思い、周りを見渡してみるとクラスの全員がこちらを向いていた。
そしてヤンキー先生が大きく息を吸って
「野郎共! 今のを聞いたか!」
「「「聞きました!」」」
「モテ男を許せるか!」
「「「許せません!」」」
「ならば戦争だ! 突撃! 突撃いいいぃぃぃ!!!」
「「「うおおおおおおおお!!!」」」
大声を出して命令を出す。その命令を受けて俺に向かいくる野郎共。
「捕まってたまるかってんだ! 俺は逃げるぞ!」
俺は廊下へ出て、走り出す。その後ろからは声を上げながら野郎共が追いかけてくる。
そしてしばらくの間の鬼ごっこが始まり、あまりに騒ぎすぎたため、他のクラスの教師に説教を受けたのであった。
後で聞いたことなんだが、俺の溜まってる宣言を聞いたAクラスの一同が一斉にカレンの方を向いたことで、カレンはかなり恥ずかしい思いをしたという。なんかごめん……
お読みいただきありがとうございました。
前回のIFストーリーの後書きで話したリーフェの件ですが、意見受付の期間は四月いっぱいにしようと思います。そのあたりには第6章も終わって区切りが良くなるはずなので。
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