責任取ってよね
「レオン君!」
「うおっ!?」
ミーナを皆で迎えに行くと、ミーナが俺に飛びついてきた。
しっかり胸で受け止めたが、これは……。
「なんて破壊力なんだ……」
戦うために動きやすい格好になっていたため、いつもより薄着であるせいか、ミーナの小柄な体に実った二つの果実の感触が……。
ふおぉぉぉお……。
「……後でアリスに連絡ね」
「ちょっと待って!?」
煩悩が見透かされていたようだ。
ミーナに一旦離れてもらい、上達しつつある土下座を披露する。
上達しつつある理由は察してほしい。怒ると怖いんだよ……。
「レオン君のお陰で、僕は勝てたんだ。本当にありがとうね」
「ミーナの努力のお陰だ。俺なんてほんの少し手伝っただけだ」
「お礼は素直に受け取った方がいいよ? 本当に感謝してるんだから」
「そうか。だったら思う存分撫でさせてもらおうじゃないか。報酬ってことで」
俺のご褒美として撫でさせてもらおうと思ったが、本当に嬉しそうにしてるミーナを見たら申し訳なくなって止めたんだがな。
「……いいよ。撫でやすいようにするね」
そう言って再びミーナが俺の胸に飛び込んでくる。
確かに撫でやすくはなったが、ドキドキするぞこれ。
「それじゃ失礼して」
俺は撫で始める。あぁ、相変わらず良い撫で心地だ。
「……ねぇ、レオン君」
「なんだ?」
俺が癒されていると、ミーナが上を向いて俺にそう聞いてくる。
その目には涙が浮かんでいた。
「ありがとう」
そこには、太陽のように明るい笑顔があった。
「どういたしまして」
俺も嬉しくなり、笑顔となってミーナと見つめ合う。
「そうだレオン君。いつも頭ばっかり撫でてるけど尻尾には興味無いの?」
「興味はあるけど、犬の尻尾って敏感だろ? 触られるのを嫌がるって聞いたことあるし」
前世でだけどな。
「特別に許してあげる」
ミーナがふさふさの尻尾を前へと持ってくる。
マジ? いいの? そ、それでは失礼して……。
なるべく刺激しないように丁寧に触れる。
「こ、これは……」
言葉に表せないほど、なんというか、凄い。
どうにか表すとすれば、ふわふわさらさら気持ちいい。なんだこの表現。
とにかく最高だ。
「あれ? 獣人の尻尾を触るのってたしか意味があった気がするんだが」
「そういえばあった気がするわね。何だったかしら?」
最高の感触を楽しんでいると、今まで黙っていたマルクとカレンの会話が聞こえてくる。
尻尾に触ると何かあるのか?
そんな疑問を抱いたが、次のリリィの言葉で解決した。
「……異性に触らせるのは、私の生涯をあなたに捧げるという意味がある。主に将来を誓い合った男女で行う行為。求愛の意味で触らせることもあるらしい」
……へ?
リリィのまるで辞書に書いてあるかのような説明を聞いて、絶句してしまう。
ミーナがそのことを知らないわけないもんな。
尻尾を触ることを許してくれた。つまりそれは。
「リリィちゃんの言う通りだよ」
ミーナがリリィの説明が正しかったことを告げる。
それと同時に俺から距離を取り、
「僕はレオン君のことが好きです!」
そういうこと、だよなぁ。
「尻尾に触った責任、取ってよね!」
いつもと少し違う、どこか小悪魔的な笑みをしたミーナが、そう言葉を残して走り去ってしまう。
「……しっかり返事は、しないとな」
※※※
私は自室のベットの上でうずくまっていた。
「言っちゃった……」
レオン君に告白してしまった。
あの時は興奮していたというか、自分とは思えないほど大胆になっていた。
「は、恥ずかしい……」
尻尾を触らせてしまった。私の気持ちが本気だということを伝えたかった。
……レオン君に触って欲しかったというのもあるが。
「……もう寝よう」
私はシャワーすら浴びずに、ベットへ潜り込んだ。これ以上考えたら恥ずかしすぎてどうにかなってしまいそうだったから。
あれ? 何か忘れてる気がする.....
ま、いっか。
お読みいただきありがとうございました。




