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絶対守護者の学園生活記  作者: 若鷺(わかさぎ)
第4章 学園~日常編~
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今はまだ、妹として

リリィ視点

 お兄ちゃんが、助けに来てくれた。

 一気に緊張の糸が解けてしまった私は、そのまま座り込んでしまう。そしたらお兄ちゃんに頭を撫でられた。とても安心する、優しい手つき。

 それと同時に、緊急事態にも関わらずこんなことを考えてしまう。

 撫でられるのは好きだが、私はただの妹としてしか思われていないのだろうか?

 ちょくちょく頭を撫でてきたり、膝の上に乗せたりさせられるが、どうにも子ども扱いされている感が否めない。兄としては、妹に対して邪な感情を抱いていたら色々アウトではあるが、私はあくまで『義理』の妹だ。結婚もできるし、その、子供だって作れる。でもお兄ちゃんの私への接し方はあくまでも妹への接し方だ。

 私はあまり自覚は無かったが容姿がかなり優れているらしく、街中をあるけば男の人からの視線を多く集めていたのも察していた。そして、その中にはとても不愉快なものも含まれていた。全身を舐めまわすかのように見られることも多々あった。いかにも下心を持った連中に声をかけられたこともあった。一緒にいたカレンが追っ払ってくれたが。

 

 そんな容姿をしている私でも、お兄ちゃんは一切の邪な感情を抱かずに私に接してくれた。兄という立場だから当たり前だと思うかもしれないが、私は純粋に嬉しかった。今までは。

 ただ、今は違った。

 もっと、女の子として私を見てほしい。

 そんなことを思ってしまった。

 助けに来てもらったことで惚れて、こんなことを思ってしまったのだろうか。

 それは違うと断言できる。

 そもそも私は恋というものがよく分からなかった。王子が言っていた惚れるというのも、そもそも惚れるという行為自体がよく分からなかった。

 お兄ちゃんに『妹』としてではなく『一人の女の子』として見てもらいたい。

 これが恋? 私はお兄ちゃんに惚れている? 

 

「リリィ、どうしてこうなったんだ」


 私が深く考え事をしていると、お兄ちゃんが話しかけてきた。私は班から離れた後のことを詳しく伝えた。

 それを聞いたお兄ちゃんは何かを呟いた後に、深く考え込み始めた。その顔は真剣そのものだった。

 私は邪魔するのもどうかと思い、静かに待っていた。

 すると、ドラゴンを倒し終えたダルクがこちらに近づいてきていた。私はこの時、ドラゴンが普通に倒されたということの異常さに気付くことが出来ていなかった。

 お兄ちゃんとダルクが二人で話し始める。私にはあまり聞こえなかったが、雰囲気からして前のような親子漫才をしているのだろう。

 だが、急に二人の雰囲気が真剣なものに変わる。

 そして、その時のお兄ちゃんの様子を見て、思った。

 

 ああ、またお兄ちゃんは何かを背負っている、と。


 お兄ちゃんは、私の表情から気持ちなどを読み取るのが得意だと前に言っていたのを覚えている。だがそれは私も同じだった。十年も見続けてきた兄の姿から、ある程度変化を感じ取れるようになった。


 そして、入学式にて再会した時は、感動のあまり気にする余裕がなかったが、後々じっくり見て感じ取ったものがある。


 お兄ちゃんはなにか無理をしている。


 なにかがお兄ちゃんを苦しめている、そう感じた。

 私にはそれが分からない。

 最近は入学したばっかりの頃と比べて、多少はマシになっているようだが。

 お兄ちゃんは優しすぎるがうえに、自分一人で何かを背負い込む傾向がある。

 私はそんなお兄ちゃんに何かしてあげられないだろうか。

 そして私は、一つの決断をする。

 私は『一人の女の子』として見てもらいたい。そして、傍で支えてあげたい。

 これが恋なのかは分からない。

 もし恋だとしても、気持ちを打ち明けて関係が壊れるのが怖い。

 だったら、今は『妹』として彼の傍にいよう。

 私が彼の癒しになってあげよう。私と触れ合うことで、彼の心が少しでも楽になるなら。

 彼に恋をしている人からしたら、彼と気軽に触れ合う私は邪魔な存在になってしまうかもしれない。

 でも、今は、今だけはこのままで。

 だがいつか、私の気持ちに整理がついたその時は――



恋というものが分からないが故に、自分の恋心にハッキリと気付けない。兄に一人の女の子として見てもらいたいが、今の関係が壊れるのが怖くて前へと踏み出せない。だから今は妹として、兄の傍にいることを決断する。


表現が回りくどくて分からん!という人用のまとめです。

お読みいただきありがとうございました。

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