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絶対守護者の学園生活記  作者: 若鷺(わかさぎ)
第4章 学園~日常編~
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テンプレは案外起こりやすい 

この作品を投稿してから一カ月が経っていることに気付きました。

そのことについて、活動報告にて色々と書きました。少しでも興味があれば読んでもらえると嬉しいです。どれくらい嬉しいかと言うと男泣きするぐらいです。いや、流石にしませんよ?多分恐らくきっと。


 野外実習当日になった。

 生徒たちは班ごとにまとまり、学園が所持する転移魔方陣が存在する建物へと集められていた。もちろん俺達もだ。

 転移魔方陣とはその名の通り、指定した場所へと人を転移させる魔法が込められている魔方陣だ。当然かなり貴重なものであり、この国が学園の教育に力を入れていることが伝わってくる。大きさもそれなりにあり、野外実習に行く人全員をカバー出来るほどだ。なんだろう、大きな魔方陣ってなんか良いよな。前世で読んだ異世界転移系のネット小説を思い出した。そう思うとドキドキしてくるな。転移するときに「なんだ!? この光は!?」とか言ってみようかな。


「そんじゃ行くぞ、お前たち」


 ダルクさんがそう言って魔方陣に魔力を流し始める。

 いやいやいや、なんであんたがまとめてるんだ。教師も生徒も特に不思議がっていない。え? 俺がおかしいの? あのクソ親父はいつの間にかリーダー的存在になってたの?

 そんなことを考えている間に魔方陣が強く輝き、目の前の景色が一瞬で変わる。

 おいおい、ここって……。


「到着だ。今回はここの森でやるぞ。この森は比較的弱めな魔物しかいないから安心しろ。全班につけるほど引率はいないからバラバラに決まった範囲を担当することになる。何かあったらちゃんと報告しろよ? んじゃ、装備の確認なり終わったところからどんどん行ってくれ」


 そしてダルクさんは自分の持ち場であろう場所へと向かっていった。


「ねぇレオン。この森って……」

「ああ、ボーン村の森だな。あのクソ親父、絶対わざとここを選んだだろ。何考えてんだ?」

「……でも、懐かしい」


 リリィが呟いた言葉に、頷き同意するカレン。そうか、この二人は五年ぶりくらいだもんな。


「なんだ? お前らこの森知ってんのか?」

「まあな。この森は俺の故郷の村に隣接してる森で昔からよく通ってたもんだ。俺達にとっては庭みたいなもんだな」

「てことは近くにお前たちの生まれた村があるのか。時間さえあれば行ってみたいな」

「うん、僕も興味があるかな」


 二人は当然ながら村が既に無くなっていることは知らない。別に進んで教えることではないしな。

 村、か……。あの馬鹿な男達とそれを抑える女性達。あのにぎやかな光景を、この二人にも見せてやりたかったな。マルクなんかはすぐに溶け込めそうだ。

 そこで不意に、カレンに俺の手をぎゅっと握られた。


「なんだ?」

「あんた、そのままだと血が出るわよ」


 なぜ? と思いながらもカレンに握られた自分の手を見る。

 そこにはかなりの力が込められた握り拳があった。爪が食い込んで、今すぐにでも血が噴き出してきそうだ。

 どうやら俺は無意識のうちにしていたようだ。


「どうせ村を見せられないのは自分のせいだ、とか思ってたんでしょ? ひっぱたくわよ?」

「なんで!?」

「アリスに言われたこと忘れたの? 何も村を守りたかったのはレオンだけじゃない。村人達皆がそうだった。だからレオンが気にする必要はない。それよりも見てごらんなさい。急にレオンが黙ったせいでマルクとミーナが困ってるわよ」

「……忘れてねえよ。そうだな、二人の相手でもしてやるか」

「やっと調子が戻ったみたいね」


 うじうじしてても仕方ないよな。うん、ポジティブ思考だ。かっとビ○グだ、俺!


「村はまた今度だな。今は野外実習に集中するぞ。ほら行こうぜ」

「そうだな、夏休みにでも行かせてもらうか」


 皆が森へ入ろうと動き始めたが、すぐに動きを止めた。

 なぜなら、お供を二人連れた、見るからに傲慢そうな金髪イケメン野郎が正面からこちらに向かってきたからだ。

 うん、俺の脳内センサーがビンビンですよ。嫌な予感しかしない。


「げっ」


 カレンが嫌なものを見た、とばかりに声をあげる。


「誰だか知ってるのか?」

「嫌なことにね。あいつはこの国の第一王子のエリク=フィル=ガルーダよ。街中でリリィを見かけてから気に入っちゃったらしくて俺の女になれってうるさいのよ。最近は大人しかったみたいだけど」

「ほほぅ……」


 第一王子様。つまりはこの国の王位継承権の第一位か。そんな男がリリィを気に入って手に入れようとしてると。ふーん。


「おい女。そろそろ俺様の物になる気になったか?」


 ウン、コイツコロス。イマスグコロス。


「待ってレオン君! 流石に王子様相手にそれはまずいよ!」

「離してくれミーナ! リリィを物扱いするとか万死に値する!」

「だから! 何かしたらまずいんだって!」

「止めるんじゃない! うおおおおおおおお!」


 俺はクソ王子に制裁を下そうとするが、ミーナに止められてしまう。

 離して、そいつ、殺せない。


「うるさいぞ、そこの愚民」

「てめぇ! リリィは物じゃねえ! 今すぐ訂正しろ!」

「はん! 俺様は第一王子だぞ? 次期国王だ。民は王にとっては物同然だ。そしてそれの所有権は俺様にある」

「あ?」


 こいつ、マジで殺しちゃダメ? この国の未来のためにも今ここで消してしまった方がいいと思うんだけど。


「それよりも女、返事を聞かせてもらおうか」

「……断る。そもそも、あなたのことなんて知らない」

「こ、このクソ女め……。父から止められてさえなければ力づくで手に入れたものを……」


 王様、グッジョブ! いや、王族なんだからやろうと思えば権力なりなんなり振りかざしてリリィを手に入れられるのに、なんでわざわざ来たのだろうと思ってはいたが、王様がそれを禁じていたのか。既に国王気分のこいつにはいい薬だ。ざまあみろ。


「ふん! どうせお前はすぐに私に惚れてそちらから媚びてくるようになるだろう。いくぞ、お前たち!」


 そう言い残してクソ王子は去っていった。

 力づくで手に入れられないとなったら、今度は自分に惚れさせるときたか。なんだろう、極端すぎないか?

 もしかして、第一王子って馬鹿?

 うわ、いかにもテンプレっていうかなんていうか……。

 クソ王子が去った後には、微妙な空気だけが残されていたのだった。

テンプレでお馴染みのわがまま王子様の登場です。

あふれ出る噛ませ臭。

そうです、噛ませです。

お読みいただきありがとうございました。

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