表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶対守護者の学園生活記  作者: 若鷺(わかさぎ)
絶対守護者の新婚生活記
166/169

楽しんでいこう

 今回の旅行の目的地である大阪へ辿り着いた。初日はそのまま宿へと直行し、二日目からが本格的な観光となる。ホテルは金に余裕があるので当然高級ホテルだ。こっちの世界の金を余らせたって仕方ないからな。


 そして二日目の今日は世界的にも有名なテーマパークへとやってきた。映画の世界を舞台にしたアトラクションが売りで、例としては蜘蛛男や魔法使いや鮫や恐竜のアトラクションなどがある。


 これまた金に物を言わせてあまり並ぶことなく優先的にアトラクションに乗ることの出来る優先券も買った。クーあたりはあまり待たせると可哀想だしな。


 そんなわけでまず最初にやってきたのは翼竜に俺達お客さんが捕らわれてしまい、空中を乱暴に連れ回されるという設定の元で出来たジェットコースターだ。ジェットコースターお馴染みの落下はもちろんのこと、席が上下左右に回転もする。もちろん高速なので慣れない人が乗ると絶対に体調を崩すこと間違いなし。


 でも俺達なら大丈夫だろう。この前行ったアミューズメント施設で俺達は異世界人補正を持ったチート集団だと分かったからだ。翼竜なんて雑魚だ雑魚。


 俺達はちょうど偶数人なので二人ずつ座っていく。俺の隣はリーゼさんだ。片手は落下防止用のレバーを掴み、もう片方の手でリーゼさんと手を繋ぐ。


「楽しみましょうねリーゼさん」

「レオン君と一緒なので尚更楽しめそうです」


 ふふっと微笑むリーゼさん。気品を感じさせるその笑みを見てジェットコースターへのとは違う別のドキドキがやばい。綺麗だなぁ……


 見惚れている間にジェットコースターは動き出した。皆のきゃー!という恐怖ではなく興奮の声が聞こえてくる。楽しんでくれているようだ。


 楽しい時間はあっという間に終わる、ということで次のアトラクションに向けて移動を開始する。途中で飲み物やお菓子を買う。子供らしく甘いもの好きなクーがニコニコ幸せそうに食べる姿はいつ見ても愛らしい。


  次に乗るのは人喰いザメのアトラクションだ。ガイドの説明を聞きながらボートツアーを楽しんでいたその時、突然人食いザメが襲い掛かってきて……という設定。


「鮫か……相手にとって不足は無いな」

「大きさはどれくらいなのだろうか」


 なんか二人ほど血気盛んな人がいるが気にしない気にしない。


 ボートに乗り込みいざ出発。最初は何も起こることなくまったりとボートは進んでいく。膝の上にいるクーの頬を軽く突いて遊んでいると、少し離れた場所で大きな水しぶきが起きた。


「何かいる!」


 クーが声を出して指さした方を見ると、水中に大きな影が見えた。


「思ったよりは小さいな」

「残念だ」


 アリスにソフィ、戦うわけじゃないからね?


 ゆっくりと近付いてきた影が水中から勢いよく飛び出し、ボートの上を越えていく。屋根がついているので濡れはしないが、予想以上のアクロバットさには少し驚いた。鮫ってあんなに飛ぶもんなの?


 ガイドの人が大慌てで連絡を取る演技をし、足元に置いてあった銃のレプリカを手にする。


「皆さん! すぐに助けが来ます! 時間稼ぎは私がします!」


 そう宣言して鮫のいる方へ銃を向けて引き金を引くと、着弾したと思わしき場所に大きな水しぶきが上がる。これを何回か繰り返すと飛んできた水で俺達も割と濡れてしまった。


 演出とはいえ中々倒さないので焦れてきた。それはあの二人も同じだったようだ。


「……こっそり魔法を撃ってもバレないんじゃないか?」

「……試すか?」

「やめなさい」


 暴走寸前の二人を抑えてるうちにガイドの機転を利かせた撃退により平和は訪れた。なんか純粋に楽しめなかったのが残念だ。


 気を取り直して次の――といきたいところだが、混む前に早めの昼食にしようと思う。十人の大所帯だと席が取りづらいだろうしな。


「? 何かあったのかな?」


 食事処への移動途中、ミーナの言葉通りなにやらあったようで人だかりが出来ていた。


「どうやら喧嘩みたいね」

「私、気になります!」


 どこぞの古典部部長みたいなことを言ってシャルが野次馬へと加わっていく。連れ戻すために俺も仕方なくシャルの後を追う。


「どうやらナンパ師対カップルの男の口喧嘩みたいですね」


 漫画などでよくある彼女を守るべく立ち塞がる彼氏とチャラ男の言い争いか。見た感じチャラ男はそのまんまチャラい感じで女の子は清楚系美人といったところか。声をかけるのもなんとなく分かる。

 それで彼女を守る男らしい彼氏さんは……



 ……えっ?


 その男には見覚えがあった。


「攻一……?」


 杉谷(すぎや)攻一(こういち)

 俺が前世で一緒に馬鹿ばっかりやっていた唯一無二の親友がそこにいた。


 

お読みいただきありがとうございました。


面白いと思っていただけたらブックマーク、評価、その他諸々していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ