表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶対守護者の学園生活記  作者: 若鷺(わかさぎ)
第9章 ???~決戦編~
138/169

家政婦の魔族

最終章の始まりです。

今日は二話更新します。こちら一話目。

 俺は今親父の家の元空き部屋にいる。なぜ元なのかというと、今現在はこの部屋にベットが二つ置いてあり、そこに寝ている人物がいるからだ。

 その人物とはゴラムとシミル。世界を滅ぼすために魔王の復活を画策し、武闘大会の時に襲撃してきた魔族。俺が転移させた後、急に意識を失い、あれから目を覚まさない。


 武闘大会で俺とシャルは無事にこの二人を倒したが、トドメは刺さなかった。これには二つ理由がある。


 一つ目はこの二人が行動に出たのは復讐のためであり、その原因となった出来事があまりにも理不尽極まりないことだったからだ。

 過去に起きた大戦で、大切な娘が目の前で辱められ、そして殺された。その光景を何も出来ずに見ている事しか出来なかった二人は無力な自分達を恨み、争いなどが起こる世界を憎んだ。

 愛する娘へのせめてもの手向けとしての復讐でもあった。

 そんな事情を知って同情し、二人を保護するなんて、俺はとんだ甘ちゃんなんだろう。


 二つ目は納得出来ないことがあったから。確かに負の感情が二人を支配していたのは分かった。だからといって、世界を滅ぼすなどと大層なことを普通は考えるだろうか?

 強大な力を持つ魔王ならともかく、たった二人の魔族だけで世界を敵に回そうなどとは考えない。だからこそ魔王を復活させようと企んだわけだが、失敗する確率が圧倒的に高いのは誰でも分かる。それでも挑んだのだ。

 ここで俺が疑問に思ったのが本当に自分の意思だったのかということ。娘を大切にしているような優しい性格の持ち主がそんな行動に出るだろうか?出るにしても相手は世界ではなく娘を殺した野郎共だと俺は思う。


 ともかく、いくら俺が考えたところで真相にたどり着くことはない。もし本当に自分の意思で復讐を果たそうとしていたのなら死刑以外で相応の罰は受けさせるつもりだし、他の何かの意思が絡んでいたのなら頼みたいことがある。


 そしてここに俺がいる理由は親父から「あいつらそろそろ起きそうな気がする」と連絡を貰ったからだ。親父の「気がする」はほぼほぼ当たる。


「う、うぅぅ……」


 どうやらゴラムが起きたようだ。続いてシミルも起きて、辺りをきょろきょろ見渡すと俺の方を向く。


 ここからが重要だ。何を言ってくるかで今後の対応が決まると言ってもいいほど、最初の言葉の重みが深い。


「……ここはどこだ?なぜ私はここにいる?そして君は誰なんだ?」


 ――――ビンゴだ。


 ゴラムの様子からも嘘を言ってるとは思えない。操られていた際の記憶を消されているのだろう。


 実はある予測を立てていた。以前にクソ王子がリリィを手に入れる為に何者かの協力を得て黒龍を呼び寄せるという事件が起きた。しかしその事件の解決後、クソ王子はその協力者のことを何一つ覚えてはいなかった。

 つまり相手は記憶、あるいは精神を操作することが出来るのではないか?そんな能力があるなら誰彼構わずに使えばいいだろうが、そんな集団催眠のようなことが起きたことは確認されていない。つまりその能力を使うには何かしらの条件がある。例えば、心が弱っている者などにしか効果を発揮しないとか。


 娘を失い、心に傷を負ったところにつけ込まれた。魔王を復活させるように仕向けられたのではないか。そして使い物にならなくなったら情報漏洩を防ぐためにも記憶を消される。


 結局これも推測でしかないが、ゴラムの発言により、この可能性が高まっただけでも充分な収穫だ。後は魔王に直接聞いてやる。


「色々と説明しますから、落ち着いて聞いてくださいね」


 戸惑っている二人にこれまでのことを話す。黙って聞いていた二人の顔が、申し訳ないというようなものへと変わっていく。


「本当にすまない。私達に出来ることなら何でもする。この命も捧げる覚悟だ」

「いや、いいんです。幸い何も被害は出なかったので」

「しかしそれでは……」


 まぁやったことがやったことだから何も無しというのも納得出来ないのだろう。ゴラムが食い下がってくる。


「ならこれはどうです? もうすぐ俺に確か妹が出来るんです。父はこの先仕事で色々と忙しいですし、母は子育てで大変です。なので家政婦として働くというのはいかがですかね?」


 そう、母さんのお腹の中にいるのは女の子らしい。つまり妹が増える。それはそうと、親父は生まれてくる子供に恥ずかしい姿は見せられないからと仕事を始めるらしい。騎士団の指南役だっけか?そうするとこの家には母さんしか残らず、子供の世話に家事もとなると大変だろう。だからこその家政婦だ。……ゴラムは男だし家政夫?まぁそれはどうでもいい。


「本当にいいのか?」

「ええ。本当にいいんです」

「……ありがとう。そして、これからよろしく」


 そして握手を求められた。しっかりと返し、俺は帰ることにした。詳しいことは親父達と話してもらうことにしよう。


 これで残る問題事は魔王との一騎打ちだけになった。

お読みいただきありがとうございました。

設定が無理矢理すぎた気が……

22時にもう一話更新します。


それと、これから物語完結までは毎日更新になります。詳しいことは活動報告で。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ