劣等感
ソフィと話し合った後、朝にも関わらずソフィが誘惑してきたため激しい運動をしてしまった。そのため急いでシャワーを浴び、俺は学園へと戻った。
次はミーナと学園祭を見て回ることになっているため、クラスへと向かった。今はちょうど昼時なのでメイド喫茶をやっているうちのクラスには中々の列が出来ていた。まあ自分のクラスだから並ぶ必要はないんだけどな。
早速教室へと入ると、特徴的なふさふさの尻尾を揺らしながらミニスカメイドが笑顔で近づいてきた。健康的な太ももが実にけしからん。
そんな可愛らしいメイドのミーナは俺の前まで来ると勢いそのままに抱き着いてきた。俺は驚きのあまり固まってしまう。屋敷でならいつでも大歓迎だが、今は周りにお客さんがいる。恥ずかしさのあまりミーナを突き放しそうになるがぐっと堪える。ミーナはなんで急にこんなことを……
するとミーナが顔を上げた。ミーナはニッコリしていたが、目は笑っていなかった。
「レオンくん? なんで精え……アレの臭いがするのかな?」
「なん……だと……? 身体はしっかり洗ったから臭いはしないはず………あっ」
「僕が働いてる間に随分お楽しみだったみたいだね?」
自爆してしまった俺に当然逃げ道などない。周りの目なんか気にしない。
「すいませんっしたあああああああああああ!!!!!!」
完璧ともいえる土下座を俺は披露した。
※※※
「あ~~~駄目になる~~~~」
「そうだね~~~」
俺とミーナは学園の屋上で日向ぼっこをしていた。雲一つない快晴で、ぽかぽか陽気が気持ちいい。
どうにかミーナの機嫌を取り戻したあと、何がしたいかリクエストを聞いたところ、二人でのんびりしたいと言われてこのような状況となった。
流石にそのまま床に寝転がるのはまずかったので、シートを敷き寝転がっている。学園祭には小さな子供も来るので、安全面を考えて屋上は立ち入り禁止になっていたので、他に人は来ないはずだ。
「んふふ~、レオンくん~」
甘えるような声を出しながら、寝転がっている俺の上にぴったりとくっつくようにして身体を重ねてくる。正直言うと暑いが、柔らかな膨らみが押し付けられているのでお得感の方が大きい。
「はむはむ」
「おぉう!?」
ミーナが俺の首元を急に甘噛みしてきて変な声が出てしまった。別に嫌ではないが、声を出してしまうのが恥ずかしいので出来ればやめてもらいたい。
やめてもらうついでに、俺は仕返しとばかりに片手をミーナの可愛らしい小ぶりなお尻に、もう片方の手を太ももに這わせる。俺との時間が終わればまたクラスの仕事に戻るらしく、着替えが面倒だからとミニスカメイド服姿のため、しっとりとした生の感触が手のひらに伝わってくる。
ビクっとミーナは一瞬体を震わせたが、抵抗することなく受け入れてくれている。
「レオンくん……ちゅうして……」
唇を尖らせて、こちらを誘ってくる。目は蕩けており、元々のミーナの匂いと少しかいた汗の匂いが混じり合い、劣情を煽り立てる様な甘い匂いになって脳がくらくらしてきた。
俺は貪りつくように唇を合わせた。しばらくは触れ合わせるだけの軽いものだったが、次第に互いの舌を激しく求めあい始める。
手は止めずに官能的な時間を楽しみ、夢中になりすぎたあまり息をするのを忘れていたのか、苦しそうにしてミーナが顔を離した。
「ぷはっ……ふぅ。ふふ、僕でもこんなに興奮してくれるんだね」
どこか妖艶さを感じさせるような笑みを浮かべ、ミーナが、すっかり臨戦態勢に入っているモノをズボン越しにさすってくる。
そんなことをされて、辛うじて残っていた理性が崩壊してしまいそうになるが、俺には気になる言葉が聞こえた。
僕「でも」?
それは自虐的な意を含んでいるように聞こえる
もしかしてと思ったことを聞いてみることにした。
「なぁミーナ。もしかして自分は可愛くないとか思ったりしてないよな?」
「………思ってるよ」
まさかのビンゴ。当たるとは思ってなかったんだがなぁ。
さっきまでの雰囲気はどこへやら。俺に重なり、見つめあったままミーナが語り始めた。
「だって僕は皆とは違って可愛くもないし綺麗でもないから。二大美少女でもないし、昔から接点があった訳でもない。高貴な血筋でもない。僕には劣ったところしかないんだ」
ミーナ以外は確かに学園では各学年での二大美少女と呼ばれてる人ばっかりだ。カレンとリリィは幼馴染みと義妹という関係で昔から付き合いがあった。シャルとアリスは王女、リーゼさんは元ではあるが公爵家の御令嬢。ソフィ先輩は英雄と共に大戦を戦い抜いた母さんの遺伝子を引き継ぎ、美貌もそれに含まれている。
その点ミーナは俺が学園に入ってから知り合った上に、二大美少女に含まれはいない。出生も一般的な家庭だ。
つまり、ミーナは劣等感を抱いているのだ。
前に散々俺が可愛い可愛い言ってても、ハイスペックな皆と過ごしていく内に不安に駆られていったのだろう。
「レオンくんの周りには素敵な人がいっぱいいて、僕がどんどん霞んでいくような気がして、段々不安になってきて……僕はこのままレオンくんの傍に居続けられるのかなって……」
ぽた、ぽたと俺の頬に落ちてくる涙。必死に堪えようとしても、止まることのない悲しみの証。
ミーナは気を遣うということに慣れすぎている節がある。そんな劣等感を抱きつつも、周りには決してバレないように振舞ってきたのだろう。
だが、その感情が溢れ出さないよう塞いでいた壁が崩れた。
それはなにが原因か。
俺が全てをさらけ出したことで、本当の意味で皆を信じ、愛せるようになったせいで焦ったのかもしれない。俺が気付かないようなことが原因となった可能性だって充分にある。
しかし、どんな原因にしろ俺の気持ちは変わることはないと自信を持って言える。
「俺はミーナの耳が好きだ」
「ふぇ?」
俺の突然の告白に、涙目ながらきょとんとするミーナ。
「垂れ耳ってところが個人的に凄く好みだし、嬉しい時にぴくぴく動くのも最高。尻尾もかなりモフモフしてて毎日抱き枕にして寝たいぐらいだ」
「れ、レオンくん?」
「個性的なメンバーが揃ってる中で、常識的なミーナがいてくれるだけで俺はかなり助かってる。それでいて優しくて仲間思いで、それにムッツリなのも高得点だ」
「ムッツリじゃない!!」
ツッコまれたが無視して続ける。
「それでいて二人きりになると物凄く甘えてくるミーナがマジ可愛すぎて何度お持ち帰りしてペロペロしてやろうかと思ったぐらいだ。まぁ思った時は大抵家にいたからお持ち帰り以前の話だが」
「ぺ、ペロペロ……」
「それにだな、俺はそもそもミーナと離れる気なんて全く無いぞ? 断言する。そもそもミーナのお父さんに誓ったわけだしな。必ず幸せにしますって。これでもまだ不安か」
「それは、その……」
「そうかそうか。なら俺が厳選した『ミーナのマジヤバ胸きゅんポイント百選』を全て挙げることにするか」
「わー! もういい! もういいから!」
さっきの涙はどこへやら、顔を真っ赤にしてあたふたしているミーナ。可愛い。
「というわけで分かったか? 俺はミーナとこの先もずっと一緒にいるつもりだ。てか、いてもらう。逆にミーナが俺の元から離れていこうとしたら地の果てまででも追いかけてやるからな、全裸で」
「怖いよ!?」
今度は怯えるような表情をしている。コロコロ表情が変わって面白いな。
「でも、そっか……僕の考えすぎだったみたいだね」
すっきりとしましたと言わんばかりの様子のミーナ。心の底から安心しているように見える。
「なんだか安心したら眠くなってきちゃった……このまま寝てもいい?」
「いいぞ。ついでに撫でてやる」
ミーナの頭に手を添えて、優しくて撫でてやる。気持ちよさそうに目を細めるミーナ。
「ありがとう。それじゃ、おやすみ……」
ゆっくりと目を閉じて、俺に全体重をかけてくる。しばらくすると寝息が聞こえてきた。
「むにゃ……レオンくん……」
寝言で俺を呼ぶとは萌えが分かっているな、この犬娘。
「大好き……」
……本当にこの犬娘は。
「俺も大好きだよ」
時間が来るまで、ミーナの頭をそっと撫で続けながら俺は空を眺めていた。
もう片方の手で起こさない程度にミーナのお尻を軽く揉んでいたのは許して欲しい。なんやかんやでおあずけにされて、俺も辛かったのだ。
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