救うために
ついに100話目です。
ここまで続いたのも読んでくださる方々の存在あってのものです。
本当にありがとうございます。
そして、これからもよろしくお願いします!
リーゼさんの告白を受け、これからの対応について一晩中話し合った。呼び方が変わったのは本人から言われたからである。
それはそうと、その結果分かったこととして、やはり魔族は武闘大会の時に攻めてくるであろうということ。そりゃ各国の精鋭が集まるとなればそこを叩くよな。さらに相手は魔物も連れてくるようだ。
それをふまえた上での俺とリーゼさんが考えた作戦は後で王様と親父に事情説明とともに提案してみるつもりだ。根回しはしっかりしておかないとな。
そんなこんなで迎えた合宿四日目。午前は自由時間で、午後にはガルーダ王国に帰ることとなっている。多くの人が再び海へと繰り出しているようだ。
俺とリーゼさんは寝不足のためずっと寝ていたが。
そして午後となった。
「クーね、おじいちゃんとたたかったの!バーンて!」
「そうかそうか、クーはすごいな」
転移魔方陣の準備が出来るまでの間、俺はクーからおじいちゃんとやらとの戦いの話を聞かされていた。
この合宿に来てる人でおじいちゃんと呼ばれそうな人といえば……学園長か。俺のあずかり知らぬところでやってたのか。後で学園長に問いただしておこう。
「今度は武闘大会で会おうの、シャルよ」
「ええ、楽しみにしています」
俺の隣ではシャルがクラリリス様と話をしている。……クラス毎の行動のはずなのになんで当たり前のように俺の隣にいるんだろうか。
「レオンも気が変わったらいつでも妾の元へ来てもええからの?」
「ははは……考えておきます」
「レオン君は私たちのです。絶対に渡しませんからね!」
そんな会話がありつつも、俺たちはガルーダ王国へと帰国した。
解散となり、俺は親父を呼んでリーゼさんと共に王様の元へと向かった。
リーゼさんの事情を聞き、王様と親父は驚いてはいた。そして俺の想いも伝えた。
「ふむ……レオンがその子を助けたいってのは分かったが、流石に王としては国を危機に陥れるような事をした者を見逃すことは出来んぞ。本来なら今すぐにでも捕えなければいかん」
「それについて一つ提案がある」
一連の流れを二人に話した。
「それなら大丈夫そうだな。お前とその子は命を張ることになるけどいいのか?」
「ああ、承知の上だ」
こうして俺とリーゼさんが考えた作戦に王様と親父の協力を得ることに成功した。
そして今度は二人で屋敷へと向かった。
いつも通り、皆はリビングに勢揃いしていた。
俺と一緒にいるリーゼさんを見て、不思議そうにしている。
「第一回家族会議を始めようと思う」
「……急にどうしたのよ」
俺の言葉に、皆を代表してカレンが乗っかってくる。
「いや、今度の武闘大会に魔族が攻めてくるんだよ。その時についてくる魔物達の相手を皆にしてもらいたいんだ」
「「「「「は?」」」」」
うん、急にこんなこと言われたらそんな反応になるわな。
作戦を行うにあたってどうしても問題になったのが魔物だ。俺とリーゼさんが魔族に対応してる間、魔物達を相手してくれる者として、ここにいる人達は最適だと思ったからだ。
本当なら皆をこんなことに巻き込みたくはないが、これが作戦を成功させるうえで最も可能性が高い。
そのためにも、しっかりと事情を説明した。
「だから皆に手伝ってもらいたいんだ。俺はこの人を絶対に救い出したい。頼む!」
「お願いします!」
俺とリーゼさんは頭を下げてお願いをする。少しでも俺たちの想いが伝わるように。
「やっとね」
「へ?」
カレンの言葉を聞いて、変な声を出してしまった。やっとって何がだ?
「やっと私達を頼るってことを覚えたのねってことよ。ここにレオンに頼られて、嬉しくない娘なんていないわよ。ね、皆?」
「助けられてばかりだったからな。本当にやっとだ」
「……うん」
「普段から僕にもっと甘えてもいいんだよ?」
「夫に尽くすのが嫁の仕事だと聞くしな」
「幼馴染を救うのに、手を貸さないわけがありません」
「……はんばぁぐぅ」
ちょっと方向性が違うやつもいるし、クーの寝言で締まらない感じになってはいる、が……
「本当にありがとう、皆」
俺の感謝の言葉を聞いた皆は、とても優しい表情をしていた。
武闘大会までにしっかりと覚悟をしておかないとな。
あと、今日の晩御飯はハンバーグにしようとも思った。
お読みいただきありがとうございました。
今日がリーフェの件についての要望受付最終日となっております。
なにそれ?と思われた方は五章のIFストーリーの後書きを読んでもらえれば分かるかと。
結果は日付が変わったあたりで活動報告で知らせようと思います。
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