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出会いはいつも不思議

ちょこちょこ思い付いたら書こうと思ってます

それは夜のことだった。

俺は夏休みそうそう遊び呆けて、最初の一週間で金欠になった。

おかげで、バイト終わりに食べる夜食がコンビニにあるおでんの玉子とおでんの汁(満タン)になっていた。

そこでまあ、バイト帰りに食べるわけだ。

いやー、おでんの汁は旨いなぁ。

おでんの玉子も最高じゃね?


ゲラゲラ!!

あっはっはっはっ!

俺は酒も飲んだこともないのに笑いのドツボにはまっていた。

人、それをを変わり者と呼ぶ。


んでまあ、くそ笑いながら帰ってたら、ふと、前方に小さな人影が横切った。


うん、なんだ?

こんな夜更けに小さな人のような影が向こうから見えるのはなんかおかしいなぁ。

どうせ、このあとはコンビニ廃棄の夜食食って、風呂入って、寝るだけだ。

ちっと、バカやっても大丈夫だろ。

俺は何となく追い掛けた。


ふふふふーん♪ お、いたいた。

そこには白い髪の10歳くらいの女の子が砂遊びをしていた。

…ふむ、これは厄介ですな。これで俺が女の子に声を掛けたらあれだ。

「お巡りさん俺です」みたいなことになりかねんな。

つってもなぁ…。そのままほっとくのもなぁ…。つーか、絶対なんかあれ闇…いや病みを抱えてそうだよなぁ。

闇属性ならぬ病み属性ってのもなんか乙だな!めちゃめちゃどうでもいいけど!


しかしまあ、せっかくここまで来たんだし、なんかするかな…。

うーん………。

ぽく、ぽく、ぽく、チーン。

よし、遊ぶかぁ!


靴ヒモの準備はいいか?

準備完了であります隊長!

よし、ゆけぇー!ゆくのじゃー!


「隣の闇事情に突撃ぃー!」

「!?!?!?」


あ、やべ。なんか石踏んづけた!

びたーん!

少女の目の前で派手にコケた俺。


い、痛い…。ついでに言うとなにやってんだ俺。

前を見ろよ。少女がなんか恐怖で固まってたのに俺の馬鹿馬鹿しさで開いた口が塞がらない状態になってんじゃねぇか。

てか、いてぇ。尋常じゃなくいてぇ。


「だ、大丈夫ですか…?」

「な、なんとかね…」


おい、あまりにも唐突で衝撃的な事件起こしたせいで少女に心配されてどうする!?

威厳の糞もねぇぞ俺。

元からそんなもんはゼロに等しいが。


「は…こんなだから俺は友達も作れないのさ」

「友達いないんですか?」

「…いないな」

「可哀想ですね」

「そうかもな」


なんか知らんが奇跡的に少女との会話が成立してるぞ。

しかも、なんか同情買われた。一般人ならこれを恥ずかしいとか、プライドがどうのこうの言うんだろうが…。

そこは安心しろ。俺は前からこんな奴だったから問題なんてないね!


「さてと、どうすっかなー」

「びくびく…?」

「いや、俺こんなだから周りから『アンタ頭可笑しいんじゃないの?』ってよく言われてさーあははは!」

「………」


めっちゃ警戒されてるな。うむ、家族の躾の良さがよく現れておるな!

知らないおじさんに声を掛けてはダメというのを彼女は知っているらしい。

もしくは、ただ単に不審すぎる俺の行動が怖いせいかもしれないが……。


ふと、何かを語りたくなった。

俺は基本的になーんにも考えてないので、よくバイトでも馬鹿をやらかすのだ。

なぜこうなったかはまた何処かで語るとして。

俺は独り言を呟きたくなったので、呟くことにした。


「とりあえずまあ、お前さん」

「私はお前じゃありません。ありすです」


なんか怒られた。まあいいか。


「ん、そうかぁ。俺はナレコだ。別におっさんでもお兄さんでも、ジジイとでも好きに呼んでくれ。あっはっはっはっ!」

「…じゃあ、クソジジイ」

「ん、そう来たか。…クソジジイかぁ。なんかいいねぇ!気分が良くなってきたわ!あっはっはっはっ!そんでどうしたよ、ありす」


絶対頭可笑しいと思ってんだろうなぁ。

だがそこがおもしれぇ。何せ俺をクソジジイなんて呼んだ奴はお前が始めてだからな!


「…変な人」

「変で悪いかぁ?俺はそう思わないね」

「………」

「ん、ちょっと調子に乗りすぎたわりぃ」

「………」


ありゃなんか不機嫌になっちまった。

ま、いっか。


「さてと。んじゃ、ちょっとありすとの話も楽しくなってきたし、ありすの話を聞いてやろか」

「………」

「黙ってないでなんか話してみ。俺は馬鹿にされても怒らないよ」

「…なんでおっさんに話さなくちゃならないんですか」

「そりゃ、君が泣きそうだったからだよ」

「…な、泣いてなんかありません!」

「おや、泣いてたのか?」

「泣いてなんかないんですぅー!」


ポカポカ。ありすが図星さされて怒って、俺の頭を叩いてくる。なんか可愛いな。

俺の妹もこんな感じだったっけ?


「はは、可愛い可愛い」

「か、かわいいとか言わないでください…」

「なんだなんだ、恥ずかしいのか?」

「うぅ…もう知りません」

「おっと、そいつは悪かったな」


へらへら笑いながら謝る俺。しかし、真面目に謝ってないからかまだぷんすかありすは怒ってた。

そういや、どっかの本で書いてあったっけなぁ、意外と子供は大人を見てるとかどうとか。

俺は真面目になって、キリッとした顔を作った。


「俺が悪かった。許してくれ」

「……」

「…許してくれた?」


ぺちん!

ビンタ食らった。地味にいてぇ。


「ごめんね。クソジジイが悪かったよ」

「…自分でクソジジイとか言うのはどうなんですかナレコさん」

「おや、名前で呼んでくれるのか?嬉しいねぇ」

「ムッ!」

「悪かったってば」


あーもう、これどうすりゃいいんだよー。

あ、そうだ。


「仕方ないなぁ…。じゃあ、俺が今日食べようと思ってたコンビニのプリンあげるから機嫌直してくれよ」

「…!」

(すげぇ、効き目だな。まるで「こうかはばつぐんだ」みたいな感じだ)


つか、すげぇ俺のプリン見てるぞ。

試しに渡してみた。

あ、なんか「ほおぉ…」とかなんか言ってる。やっぱこの子おもしれぇな。


「食べてもいいぞ」

「い、いただきまーす」

「………」


へぇ、こんな顔も出来るんだ。やっぱ女の子は笑顔が一番だよなー。どっかの変態は泣いてる顔がいいとか抜かしてるが、俺はやっぱり笑顔が一番だよ。

だって、幸せそーだもん。

くっくっくっ…。

いかんな…笑ってしまいそうだ。笑顔を見て、楽しいとか面白いとか思っちまったせいで顔がにやける。


「ん~~♪」

「美味しいか?」

「おいひい!」

「そうかそうかそりゃ良かったな。くっくっくっ」

「ナレコさんも食べる?」

「お、いいのか?」

「うん!」


そう言って彼女はスプーンでプリンをすくって俺に向けた。

俺はそのままぱくっと食べた。

ああ、いいなぁ。やっぱ誰かと食べると楽しいなぁ。

ふと、彼女が何かを期待してるように見ているのに気付いた。

俺は笑顔で答えた。


「やっぱプリンは美味しいな!」

「だよね!」


くっくっくっ、めっちゃいい顔してんじゃねぇか。

たまにはこういう日も悪くねぇな。


小さなプリンはそのひとときを楽しむには十分な代物だった。

俺は酒は飲まねえ質だ。だから、ジュースで空でも眺めながら飲むときが多いのだが、どうやら今日はそんなことをしなくても楽しめそうな気がした。


「さあて、気分も良くなったし。またどっかで会おうぜありす!」

「え、もう行くの?」

「おう。あれ、なんだ? もっといて欲しかったか?」


答えにくそうな顔で彼女は口ごもっていた。

何を言いたいかは空気を読まない俺でも分かった。だから空気は読まなかった。


「えっと……」

「はぁ……しゃあねぇな。なら、また会う約束でもするか?」

「……いいの?」

「いいに決まってるだろ。約束くらい誰でもするもんだし」

「そうなの?」

「そうさ。なんだ? なんか気になることでもあるのか?」


そこでまた口を閉じる。

こりゃ、昔の俺そっくりだな。結構重症かもしれん。なんとかせにゃあかんなー。

俺は彼女をリードするつもりで、また口を出そうとした。

すると、彼女は焦った感じで「待って!もう少し待って」と言ってきた。


それを聞いて、俺は「ああ、良いだろう。幾らでも待ってやる。だが、ずっと黙ってても意味はねぇぞ。俺なんかに遠慮して黙ったって最後には不安になって何も言えなくなるからな」と返した。


それを聞いた彼女は不思議そうな顔をした。

俺は一応、言いたいことは言ったので、そこで黙った。


俺は知っている。彼女が真剣に言葉を選ぼうとして、たぶん失敗するのを知っている。

だって、彼女もたぶん友達がいないから。

この子は昔の人見知りしていた俺によく似ている。なんかそんな気配がする。この子は意外としっかりしているところもあるが、こうやって俺なんかと話してる時点で年相応らしい部分があるのも話していて分かった。


普通の女の子は俺なんかとこんな風に話したりなんかしねぇ。普通なら俺が近付いてきた時点で逃げる。

だが、この子は俺と会話をしてきた。

こんな変わり者の俺なんかとだ。

だとすればきっとそれは、俺が始めらへんに言ったあの台詞が原因かもしれない。


俺には友達がいない。

実のところそれは嘘なのだが、まるっきり嘘とも言えなくはないので、真実味がある。

だから、この子は気を許したのだろう。


…ってなにシリアスに考えてんだか。

日頃からバカやってる俺が何くそ真面目に考えてんだよ。あー馬鹿馬鹿しい。

さてと、そろそろいいかー?


俺は彼女を見た。俺がこっちを見たせいで、また口を閉じた。何か言いたいことがあるのが見え見えなのだが、不安がってなんも言えない状態になってやがる。


どうせ、俺を傷付けないようにとか無意識に考えてんだろう。

俺もそうだったから分かる。

だったらとりあえず、言いやすい環境でも作っとくかな。


俺はその場に背中を向けてあぐらをかいて座った。

そして、背中に指を指してこう言った。


「ここに来て、背中に手を当てろ」

「?」


彼女は俺が座ったことに驚いていたが、何処かほっとした表情をしていた。俺が背中を指差す頃にはまた不思議そうな顔をしていたが、素直に俺が指示したことをしてくれた。

うん、いいやつだ。


「こう?」

「おう、そんでそのまま聞いてくれ」

「う、うん」

「ありす、お前は優しい」

「…や、優しい?」

「ああ、優しい。こんな俺みたいなつまんない奴に親身に聞いてくれるからな」

「親身ってなに」

「…分かりやすく言うと真剣にって意味だな。まあ、とにかくお前は優しいんだよ」

「は、はあ…」


この感じたぶん意味が分かってないな。


「つまなかったか?」

「そ、そんなことないです!」

「そうか。まあ、とにかくだ。お前が何を考えてるかは俺もよくわかんねぇけど。

とりあえずこれだけは言っておくぞ?」

「う、うん」

「ありすは心が優しくて明るくて可愛い女の子だ」

「…私はそんな子じゃないです」


悲壮な顔してありすは言った。まあ、言いたいことは分かるよ。でも


「自分に正直なのはいいが、俺は嘘は言ってないよ」

「わ、私は可愛くなんてありません!」

「そうかぁ?絶対可愛いと思うけどなぁ?」

「どうしてそう思うんですか!」

「じゃあ、逆に聞くがありすはどうして自分を可愛くなんて言うんだ?」

「ッーー!?!?」


さて、ここからが正念場かな。

こっからは真剣に言葉選ばねーといけねえな。ちょっと緊張してきたな。まあ何とかなると思いたいが。


「…話したくなきゃ話さなくてもいい。話したくなったら話してくれ。そんときは聞いてやる」

「………」

「ありす、俺はな。昔、人にいじめられたことがあったんだ」

「え…」

「俺はいつも一人だったからなぁ。まあ、だーれも助けてくれなかったよ。何せ、周りに助けてくれる親も大人も優しい子もいなかったからねぇ。よく苛められては泣いてたよ」

「………」

「俺の両親はねぇ。帰ってきた俺が泣いてるのを見て、すぐに気付いてくれたんだ。「どうしたの?またいじめられたの?」ってね」

「そうなんですか」

「そうさ。ありすの親も苛められてたら気付くと思うぜ」

「……私の時は誰も気づいてくれませんでした」

「あれ、そうなのか?」

「はい、そうなんです」

「…それは辛かったねぇ。なんで苛められたのかなぁ?」


後ろでグズっグズって言う音がする。恐らく泣いてるんだろう。てかこいつ、俺の背中に顔を置いて泣きやがった。

この服洗濯しないと駄目になっちまった。


「そん、なの。私に、分かるわけ…グズ」

「そっかぁ…。そりゃ、分からないよねぇ。だって、俺だってそんなこと知りたくないし」

「う、うううぅぅ」

「なあ。俺には何があったかわかんねえけどさ。俺は一応、大人だからさ。何となくありすの事情って奴が分かる気がするんだよ」

「アンタに、分かるわけ」

「確かに俺と君とじゃ苛められてた事情が違う。でもね、だからこそ俺は思うんだ。君はどうしてこんな夜にこの公園に来たの?」

「……?」

「それはきっと、君が苛められてたことに誰も気付いてくれなくて誰にも話せなかったからじゃないのか?違う?」

「ち、違う…と思う」


この感じはたぶん違わないな。俺の推測はたぶん当たってる。じゃなきゃ「思う」なんて自信がない言葉は使わないから。


「少し残酷だけど、君が苛められてた理由を当ててあげようか?」

「え、や」

「それは簡単さ。君の髪が白いからだよ」

「な、なんでそれ」

「俺は知ってる。なんでもは知らないけどいじめについてはよく知ってる。伊達に苛めについて本気で調べた訳じゃないからね。だから分かる。君はクラスのみんなに気味悪がられて、化け物扱いされてる」

「嫌だ、聞きたくない!」

「…そうか。だったらこう言おう」

「聞かない!」


俺はいじわるしちゃったみたいだな。と罪悪感を覚えつつ彼女の頭を撫でてみた。

テンプレならこれでいいんだろうけど、まあ現実ってそう上手くいかないよねー。

俺の手は彼女に即座に払われた。


「触らないで!」

「………」

「ふー、ふー!」


非常に興奮してる。激おこぷんぷん丸だな。

たがら俺は笑った。


「うん、合格だ」

「な、なんで笑うの!?」

「君がちゃんと怒ったからだよ」

「意味が分からないよ!」

「はは。最初に言ったろ?俺は変わり者だって」

「へ、ヘンタイ!このヘンタイヘンタイヘンタイくそロリコンジジイめ!」


またポカポカ叩いてくる。

俺は笑った


「痛いなぁ。くっくっくっ」

「わ、笑うなぁ!ヘンタイ!」

「いーや、笑うね。だって楽しいから。あっはっはっはっ!!」

「もう!もうもうもーー!!!」


君は牛か。

しかしまあ、俺がなんで笑ってるか全然気づいてないんだな。まあ、当たり前か。俺は変わってるし。


でもまあ、なんで笑うかって言えば、そりゃ君がちゃんと俺に遠慮せず自分の意見を言ったからだよ。俺に全くの遠慮をせずな。

だから俺は笑う。その成長に。そのまだ折れてない心の芯の強さに。

俺は人間らしい感情をしたその女の子の未来が明るくなったと思って笑ったんだ。


まあ、本当に俺もそう思って笑ってんのか分かんないだけどね。だが、そう笑うならたぶん俺らしさでもそっちだろうと思う。


「さてと。ありす、そろそろ家に帰ろうか?」

「い、いや!」

「んなワガママ言われても俺も困る。俺も家に帰んなきゃいけないし」

「だったら、私をそこに泊めて!」

「いや、駄目だろ」

「駄目じゃない!つーれーてーくーのー!」

「だーめーだー。絶対ダメー!」

「ケチー!ドヘンタイの癖にー!」

「あはははは!遂に俺はドヘンタイと呼ばれることになったか。あっはっはっはっ!」


いやー、楽しいねぇ。誰かと話すのは本当に楽しいねえ。それも本音で語り合う仲の人間と話すのは格別に楽しいねぇ!


さて、またありすがお得意のポカポカ攻撃をしてくる。しかも今度は頭をグリグリもしてきた。だいぶ遠慮がなくなってきたな。


「もう、なんで笑うのよー!」

「え、なんでって?そりゃ簡単だろ?


だって、面白いから」

また書いたら即座にあげます!

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