傲慢な神々 1
「な……なんだ?」
気付くと、俺は暗い空間にいた。
「なんだ、って……ここは、僕と君が最初に出会った場所だよ」
と、隣にウェスタがいるのがわかった。
「に、ニト……ここは?」
「イリア。無事だったか?」
イリアもすぐ近くにいた。
「あ、ああ……その……誰だ。その子は……」
と、イリアは不安そうにウェスタの事を指さす。
ウェスタはニッコリとイリアに微笑んだ。
「やぁ。イリア……いや。聖女イリア。僕はウェスタ。この世界の創造神だよ」
「ウェスタ……え……あ、貴女が?」
キョトンとした様子でイリアは云う。というか、イリアにもウェスタが見えているのか……
「まぁ、今は見せようとしているから見えているんだけどね」
ウェスタは俺の疑問を感じ取ったのか、さらっとそう言った。
「し、しかし……ニトにウェスタ……い、いくらなんでも冗談が過ぎるんじゃないか?」
イリアはやはり信じられないようだった。
俺だって、仮に転生前の世界でいきなり神様を名乗る人が2人出てきたら、その人達のことを神様だなんて理解できるわけがない。
「あはは。まぁ、信じられないだろうね。でも、僕とニト君はずっと見てきた。君は巡礼の旅をして、この世界良くしようと努めてきた……もう立派な聖女だね」
「え……あ、あはは……そうだろうか?」
嬉しそうに頬を赤らめるイリア。
……なんだろう。ウェスタは一体何を考えているのか。まさか、ここでウェスタが直々にイリアが聖女であることを認めるのだろうか。
しかし、それはウェスタ教会の仕事ではなかったのか……俺はウェスタを見る。
「ウェスタ……一体、お前……」
「ん? ああ。そうだ。用件を言わないとね……さて、聖女イリア。君はこれで名実共に聖女だ。そこで相談なんだけれど……君は神になってみたいと思わないかい?」
「……は?」
イリアはキョトンとしてしまった。俺も同様だった。
いきなり何を言い出すかと思えば……神になるだって?
「お、おい、ウェスタ……どういうつもりだ?」
「どういう、って……そのままの意味だよ。イリアに聞いているんだ。神にならないか、って」
「神にならないか、って……この世界の神は俺とお前だろう?」
「うん。そうだね」
ウェスタは紅い瞳で俺を見る。まるで宝石のような無機質な瞳を見ていると、俺はなんだか恐怖を感じてしまった。
「だから……イリアが僕になるんだ」
「……は? な、何を言っているんだ?」
と、その時だった。瞬間、イリアとウェスタの周りを囲むようにして発生した。
「な……何のつもりだ!? ウェスタ!」
俺が怒鳴るとウェスタはニンマリと邪悪な笑みを浮かべて俺を見る。
「……あっはっは! どういうつもりかって? この子を僕のための供物にするに決っているだろう!」




